三重大学(津市)の研究グループは22日、茨城県の霞ケ浦などでコイの大量死を引き起こしたコイヘルペスウイルスについて、エサに混ぜて口から与える経口予防ワクチンを開発したと発表した。同ウイルスに対する経口ワクチン開発は世界で初めてという。
国内には予防ワクチンはなく、現状では感染した場合、コイをすべて殺すしかなかった。ワクチンを大量製造できれば、食用のコイや観賞用ニシキゴイの予防に役立つと同グループは説明している。
開発したのは三重大工学部の吉村哲郎教授と、生物資源学部の宮崎照雄教授の両グループ。ワクチンはウイルスを死滅させて感染力をなくし、人工的に作った薄い脂質膜に混在させてリポソームという粒子にした。
これを混ぜたエサをコイが食べれば体内で吸収され、約3週間で抗体ができる。ワクチンを与えた場合、ウイルスに感染しても約90%のコイが生き残り、与えなかった場合の約10%より生存率が大幅に上昇した。
一部の国で開発された注射によるワクチン投与より労力が少なく済み、コイも傷つけない。
(共同通信)