2005年04月05日

琵琶湖のヨシ遺伝子 単一傾向 内湖の小規模群落は多様な型

 琵琶湖の広大なヨシ群落は単一の遺伝子型が多いのに対し、内湖の小規模なヨシ群落は多様な遺伝子型を持つことが、県琵琶湖・環境科学研究センターの研究グループの調査で分かった。研究グループは、ヨシ帯の再生にあたって、気候変動や病気で全滅しないよう、多様な遺伝子型のヨシを植栽する必要を訴えている。
 内湖が魚類や水生植物の多様性の維持にどう貢献しているかを調べる研究の一環で、2003年度と04年度に実施。金子有子主任研究員ら3人が琵琶湖岸と内湖沿いの計39カ所でヨシのDNAを分析した。

 その結果、遺伝子型の多様性を示す指数は、大津市雄琴や高島市新旭町針江など琵琶湖岸の大群落の平均値が、近江八幡市の北沢沼や高島市の乙女ケ池など内湖の小群落の平均値を下回った。
 研究グループは、内湖では、水位の変動や土砂の流入など生息環境の変動に適応する過程で多様な遺伝子型を持つようになったのに対し、琵琶湖岸は穏やかな環境のため、単一の遺伝子型が多くなったとみている。
 気候の激変や病気・害虫の大発生など、環境に大きな変動があった場合には、単一の遺伝子型のヨシ群落の耐性は弱いとされる。
 遺伝子型の多様性が高かった小群落は、県ヨシ群落保全条例による保全区域の対象外が多かった。金子研究員は、県やボランティアによる植栽は面積拡大を重視する傾向が強いと指摘し、「ヨシの植栽は面積増だけを目標にしても意味がない。遺伝子型の多様性に配慮することが必要だ」と話している。
(京都新聞)

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Posted by DODGE at 2005年04月05日 10:30 in 自然環境関連

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