2005年03月16日

ムツゴロウに原告資格なし…諫早湾干拓差し止め却下

 国営諫早湾干拓事業で、長崎県の諫早湾に住むムツゴロウなどの生物や周辺住民を原告に、国に事業差し止めを求めた訴訟の判決が15日、長崎地裁で言い渡された。

 伊東譲二裁判長は生物などについては「原告としての適格を欠く」として却下し、住民については原告適格を認めたが、「不特定多数の生命や身体に危険が及ぶ可能性があることを抽象的に主張しているだけで、十分な立証をしていない」とし、訴えは棄却した。

 原告はムツゴロウのほか、ズグロカモメ、ハマシギ、シオマネキ、ハイガイ、「諫早湾」の自然物6種と同県愛野町議原田敬一郎さん(52)ら湾周辺住民5人。1996年7月に提訴し、「事業によって自然が破壊され、生物たちの生活や「人格」を侵害している」と訴えてきた。

 野生動物を原告にした訴訟はほかに、95年2月提訴の鹿児島県・奄美大島「アマミノクロウサギ訴訟」、同年12月提訴の茨城県・霞ヶ浦「オオヒシクイ訴訟」があるが、いずれも「原告不適格」とされて敗訴した。

 国営諫早湾干拓事業は、有明海沿岸の漁業者が工事差し止めを求めた訴訟で、佐賀地裁が昨年8月、工事禁止を命じる仮処分を出し、工事は中断している。
(読売新聞)

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Posted by DODGE at 2005年03月16日 10:05 in 魚&水棲生物, 自然環境関連

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