2005年03月15日

FLW TOUR第3戦 初日から最終日までの経過

 1月19日に開幕した今季Wal-Mart FLW TOURは、ルイジアナ州ワチータ・リバーで第3戦を迎えた。BASS CITGOバスマスターツアーとは異なり、FLWは1ヶ月に1試合ペースでサーキットしているが、あっという間に第3戦も終了した。トーナメントはフロリダ州南部のレイク・オキチョビーからスタートし、続いてフロリダ州中部のレイク・トホ、そして第3戦でルイジアナ州へと移ったが、このフィールドは一癖も二癖もあり前半3戦中で最難関と呼ぶに相応しい場所だった。川の水位は2週間で数ftも減水する勢いで、そんな水位変動と広大なトーナメントウォーターがアングラーを窮地に立たせたのだった。

 ワチータ・リバーはアーカンソー州に源流を持つ川で、現在までにレイク・ワチータでは大会が開催されてきたが、その下流域(今回のトーナメントウォーター)での開催はFLW TOURにおいて初の試み。BASSでは過去に数度ワチータ・リバーを使用しており、最近ではCITGOバスマスター・オープン・チャンピオンシップ(昨年12月2-5日)が開催された。ミシシッピー・リバーやレッド・リバーに似た特長があり、ブッシュ、スタンプ、レイダウンなどのログ系ストラクチャー、ウイードなどのグラス系、そしてブレイクやリバーチャンネルなどのハードボトムとストラクチャーの種類は豊富。特に幹付近にまで水没したスワンプ地帯のサイプレスツリーは、ルイジアナ州南部のフィールドを攻略する際のメインファクターになる。
 ワチータ・リバーは全長約600マイル。途中にはロックがあり水域を区切っているプールを形成する。前述のオープン・チャンピオンシップではこのロックの向こう側はオフリミットだったが、FLW TOUR第3戦ではロックを越えることが許されている。たとえば、スタート地点から下流に向かったロックの先にはモンロープールがあり、ここはBASSでオフリミットだったエリアだ。一方、上流部のロックを潜ってフェルセンタルプール(アーカンソー州)に入るアングラーも多い思われた。とにかく、ワチータ・リバーではバスが極端に散らばっているため、今大会でも、バスのストック量が比較的多いスポットをいくつ持っているか、フィッシング・プレッシャーのより低いエリアを見つけられるかが勝負の分かれ目になった。

 本戦初日、マット・ヘレンが24Lb14ozとモンスターサックをウエイインし観衆のど肝を抜いた。たしかに42%がリミットメイクに成功しているが、そのほとんどが混戦状態。20Lbを持ち込むのすらやっととイメージしていただけに、ヘレンのウエイトは想像を絶するスコアだった。
 この日、大森貴洋さんが6Lb12oz(初日のビッグフィッシュ賞)を含む19Lb13ozをウエイインしている。バスマスターツアーとの掛け持ちで参戦した大森さんは飛行機で現地入りをしたが、それでもプラクティスの時間は2日間しかなかった。「飛行機での移動中、空からワチータ・リバーを見下ろし、ある程度エリアの目星をつけてた」と語っている。そんな限られた時間で初日3位につけるとは、お見事としか言いようがない。
 またBASSではオフリミットだったモンロープールに向かった選手もいたが、多数の選手が北上。ステイト・ボーダーを越え、上流域のプール群を攻略したアングラーが上位を占めた。

 初日に比べフィールドのコンディションの悪化が進行し、多くの選手が苦戦した2日め。全体の23%がリミットメイクに成功。27名がノーフィッシュ、2日間連続で3名がノーフィッシュに終わった。昨日のトーナメントリーダー、マット・ヘレンは「(決勝に残るためには)数Lbをウエイインできればいいと思っていた」と語ったが、4尾で11Lb8ozをキャッチ。予選ラウンドを首位で抜けた。
 予選を3位で折り返したジェレミア・キンディーもヘレンと同じエリアをシェアしていたようで、オープン・チャンピオンシップで2位に入賞したグレッグ・ハックニーもこの周辺をメインにしていたようだ(ハックニーは2日め、19Lb12ozというこの日の最重量を持ち帰ったがトータルを23Lb14ozにし伸ばせず20位で大会を終えた)。
 また並木敏成さんは予選両日を通じて26Lb6oz(初日:13 Lb4oz、2日め:13Lb2oz)をウエイインし10位で決勝へと駒を進めた。
 
 初日から2日めにかけてルイジアナ州上空を通過したコールドフロントの影響で、バスがナーバスに。決勝に進出した全選手が上流を目指し、ロックを通過しフェルセンタルプールをメインエリアに試合を展開した。しかし風速13mを越す強風が吹き抜け、マイエリアに入れない選手が数名いたという。
 初日から着実にウエイトを伸ばしてるマット・ヘレンは5尾で18Lb1ozと、決勝に突入してもその勢いは衰えなかった。しかしここで、7パウンダーを含む5尾で20Lb7ozを持ち帰った並木敏成さんがヘレンに2Lb6ozの差をつけて首位に躍り出た。並木さんは「今日はあのキッカーフィッシュ(7Lb)が獲れたからラッキーだった。明日はどうなるかなんてわからないよ」と謙遜気味にコメント。一方ヘレンは「パターンが変わらなければ、明日もウエイトを伸ばせられる」と語るかたわら「(ウエイインの時間が早まるため)移動の時間を考えると、実際に釣りができるのは3時間程度。3時間ではマイウォーターを全部回れきれない」と最終日を闘う難しさを懸念した。

 「日を追うにつれて水がマッディになってきて、毎日少しずつパターンをアジャストしないといけなかった」と語る並木さんは、最終日、3尾のみのウエイインとなったが10Lb7ozをマーク(10名中3名がリミットメイク)。この日も昨日同様に晴天ながら強風に悩まされ、フィールドはさらにタフに。ヘレンは5尾をウエイインするが9Lb11ozと低迷したため、並木さんが逃げ切って、FLW TOUR参戦4年めにして初優勝を成し遂げた。
 「(優勝したなんて)まだ信じられない。明日の朝になれば、そんな気分になっているかもしれない。日本に戻る飛行機の中で優勝感を味わいます」と述べた。並木さんにはこの勢いを落とさず、年間優勝争いを仕掛けるべく“ナミキ・ムーブメント”を引き起こしてもらいたい。
 2位に甘んじたヘレンは「今回は私の番ではなかったようだ。これからも釣り続けるだけさ。いつかいい日が来るまで私は挑戦し続ける」とアスリートの鏡ともいえる名言を残した。
 
 大会が終了して、並木さんの優勝も素晴らしいのだが、年間総合暫定1位のボビー・レイン(フロリダ州在住)にも注目しておきたい。彼は初戦から7位、3位と続き、今戦で9位に入賞。現在584ポイトを獲得していて、2位のJTケニーに51ポイント差をつけて独走している。前半戦は時期的なパターンフィッシングが成立しにくいフィールドばかりだったが、後半戦は第4戦がビーバー・レイク、第5戦がレイク・ウィーラーとパターンフィッシングが軸になるレイクが続く。レインはこのタイプのフィールドで彼の強さを証明できるのだろうか。

Posted by DODGE at 2005年03月15日 17:29 in 海外トーナメント:FLW

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