2005年03月02日

<ナマズ>特定外来生物指定R入りに賛否論争 漁業関係者

 「食べて駆除を」「名物料理に悪いレッテルは困る」――。北米原産の「アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)」が環境省の特定外来生物指定リストに入ったことに対し、茨城、岐阜県内の漁業関係者らの間で、賛否を巡る論争が巻き起こっている。県庁食堂のメニューに登場した茨城県では、霞ケ浦の漁業者が指定に賛成。一方、名物食材として町おこしに利用する岐阜県飛騨市では、漁業者が指定反対の意見書を同省に送った。脂が乗った白身魚は「害魚」か「名産」か。

 茨城県では、ニホンナマズの代用目的で71年に輸入されたアメリカナマズが霞ケ浦で繁殖。在来種のテナガエビやハゼ類を食い荒らすため、漁協などが駆除に乗り出したが、被害は減らない。地元漁業者は少しでも収入につなげようと切り身の販売を開始。“食べる駆除”に賛同した県が納入し、県庁食堂の「天丼」の具材に使い始めた。程よく脂が乗った白身の評判は上々という。
 その霞ケ浦産の稚魚を82年に取り寄せて養殖し、名物料理にしたのが岐阜県飛騨市河合町。刺し身やかば焼きが好評で、「飛騨名物河ふぐ料理」として定着している。
 6月施行予定の特定外来生物被害防止法で特定外来生物に指定されると、生息地からの移動などが禁止される。河合漁業生産組合や飛騨市は「リスト入りはイメージが悪い」と、指定除外を求める意見書を同省などに送った。一方、霞ケ浦漁業組合連合会は「害魚であることに変わりはなく、指定は喜ばしい」と話す。
 環境省は指定生物のリストを公表し、2日まで国民からの意見を公募している。同省は「生業に利用されている生物は、外部に逃げ出さない環境が整備されていることを条件に、飼育などが認められることになるのではないか」との見通しを示している。【高野聡】
 【ことば】特定外来生物 国内の生態系を脅かす外来の動植物対策を盛り込んだ特定外来生物被害防止法に基づき、政令で指定する種。指定されれば、国の許可なく輸入や飼育などが禁止される。環境省は1月に第1陣の対象種37種を公表。4月下旬に指定種を盛り込んだ政令を閣議決定する方針。(毎日新聞)
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Posted by jun at 2005年03月02日 10:26 in 内水面行政関連

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