2005年02月05日

「根拠」と「効果」主張対立 琵琶湖・外来魚訴訟、7日判決

 琵琶湖固有の生態系を守るため、滋賀県が県琵琶湖レジャー利用適正化条例で、オオクチバスなど外来魚の「再放流(リリース)禁止」を規定したことの是非を問う訴訟の判決が、7日に大津地裁で言い渡される。在来魚の減少は外来魚が原因なのか。リリース禁止は効果があるのか。6月に施行予定の外来種被害防止法で、オオクチバスも販売や飼育などが規制される「特定外来生物」の指定候補になる中、2年余り続いた訴訟の判決が注目される。

 原告は、釣り愛好家のタレント清水国明さん(54)と大津市の会社員(30)で、県を相手に、リリース禁止の義務がないことの確認を求めている。
 最大の争点は、在来魚減少の原因だ。原告側は▽水質汚濁で生息環境が悪化▽開発で産卵・繁殖場所が縮小▽外来魚駆除事業で在来魚も混獲−とし、リリース禁止ではなく、水産行政の見直しを求める。これに対し、県側は、産卵・繁殖場所の縮小も原因と認めつつ、「オオクチバスが急増した1983年ごろから、フナやコイなどの漁獲量が減少した」として、外来魚との因果関係を前面に打ち出した。
 リリース禁止の効果についても、両者の主張は真っ向から対立する。原告側は、再放流しても外来魚の一部は死ぬため、リリースには駆除効果もあるとした上で、「リリース禁止で釣り人が減れば、かえって駆除効果が下がる」と訴える。県側は、釣り人の協力で多くの外来魚が回収できたとして、「効果がある」と反論してきた。
 また、原告側は釣り人の幸福追求権の侵害も強調し、リリース禁止が憲法違反にあたると主張した。清水さんも口頭弁論で「バス釣りは再放流が前提。禁止規定は釣り人の楽しみまで規制する」と訴えた。県側は一貫して、リリース禁止は生態系保護のために正当という立場だ。
 今回の訴訟は、提訴が条例施行前だったため、県側は「当事者間に法律上の争いが存在せず、訴えの利益もない」として、当初から訴えの却下を求めてきた。原告側の代理人は「原告は施行後もバスを再放流した。当事者としての適格性はあり、踏み込んだ判決を期待する」としている。
 7日は、原告の会社員が、県に外来魚駆除事業への補助金支出を止めるよう求めた訴訟の判決も言い渡される。
 ■滋賀県琵琶湖レジャー利用適正化条例とは
 レジャー活動の多様化に伴い、琵琶湖固有の生態系や水質などの保全を目的に2003年4月に施行された。外来魚のオオクチバスとコクチバス、ブルーギルの再放流禁止を規定する。制定前の意見募集では、約2万21000件のうち、9割以上が禁止規定に反対した。都道府県で再放流禁止を盛り込んだ条例があるのは滋賀県だけで、新潟県や岩手県などでは、内水面漁場管理委員会の指示で再放流を禁じている。

+Yahoo!ニュース-滋賀-京都新聞

Posted by DODGE at 2005年02月05日 14:19 in ブラックバス問題

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