2005年01月31日

オオクチバスなど37種、外来種規制対象に選定

 環境省は31日、特定外来生物被害防止法の規制対象となる外来種の種類を決める専門家会合を開き、ブラックバスの一種オオクチバスなど37種類を選定した。

 外来種による国内生態系の被害を防止する同法は6月に施行が予定されており、閣議決定を経て正式に指定されると、輸入や飼育などを罰則付きで禁止する本格的な規制が始まる。
 外来種問題の象徴でもあるオオクチバスを巡っては、同省の対応が混乱。オオクチバス指定の是非を討議する小会合では、規制に強く反対する釣り団体「日本釣振興会」や超党派の国会議員でつくる「釣魚(ちょうぎょ)議員連盟」などに配慮し、半年間の指定先送りを決めていた。
 しかし、小池環境相が今月21日の記者会見で、「指定すべきだ」と発言し、再検討を指示。同じ日開かれた魚類専門家会合で、一転して指定の方針を確認した。
 これに対し、釣魚議員連盟は「専門家が話し合った結論を無視することは納得いかない」と反発している。
 この日の専門家会合では、哺乳(ほにゅう)類や爬虫(はちゅう)類など分類群ごとの検討結果が報告された。オオクチバスについては、小会合の結論も報告されたが、「生態系への被害は明らかで、早急に指定すべきだ」との意見が多数を占め、規制リストに追加した。
 規制されるのは、魚類ではオオクチバスのほか、同じブラックバス類のコクチバスなど。特別天然記念物のアマミノクロウサギを捕食するジャワマングースや、ペットが野外に定着して農作物被害を及ぼしているアライグマ、無脊椎(むせきつい)動物の毒サソリなども選定される。
 リストは国民の意見を聞いた後、4月に閣議決定される。(読売新聞)

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●以下、同様のニュース

「動植物37種類まず規制へ 外来種被害防止法」

 固有の自然環境を守るための「外来種被害防止法」で、環境省の専門家全体会合が31日開かれ、6月に予定される法施行時の第1陣として規制する「特定外来生物」のリストが決まった。
 指定の先送りから、スタート時点で規制対象に加える方向に転換したオオクチバス(ブラックバスの一種)も含め動植物37種類。環境省が国民の意見を聞いた上で、最終的に閣議決定する。
 指定第1陣はオオクチバスのほか、カミツキガメやアライグマなど31種とゴケグモ属など四属、一科。属や科といった単位で指定された生物もあり、環境省は「全部で37種類」とした。
 温室トマト栽培の授粉に利用され、需要が大きいセイヨウオオマルハナバチは見送り、1年程度検討を続ける。(共同通信)

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「<特定外来生物>規制する第一陣に37種指定 環境省が選定」

 特定外来生物被害防止法(外来生物法)に基づき輸入や移動などを禁じる「特定外来生物」の第1陣の指定リストを検討する環境省の全体専門家会合が31日開かれ、37種類の生物を選定した。指定をめぐって魚類研究者と釣り関係者が対立したブラックバスの一種のオオクチバスも含まれる。トマト栽培の授粉に用いられているセイヨウオオマルハナバチは指定する方向で1年以内に判断することになった。
 選定されたのは、ほ乳類11▽鳥類4▽は虫類6▽両生類1▽魚類4▽昆虫3▽無脊椎(せきつい)動物5▽植物3――の計37種類。同省が国民の意見を聞いた後、閣議で決定され、6月までに予定される同法施行時から適用される。
 昨年10月からの専門家会合では、36種類が選定され、生態系への影響が指摘されてきたオオクチバスは釣り業界への配慮から半年間の先送りが決まった。しかし、今月21日に小池百合子環境相が「指定が望ましい」と発言して一転、第1陣のリスト入りが決まった。
 セイヨウオオマルハナバチは栽培農家が対策を取るための準備期間が必要との意見もあり、今回の指定は見送られた。
 外国産のカブトムシやクワガタ、ミシシッピアカミミガメは在来種に与える影響の科学的データが少なかったり、指定を受けると捨てられる危険性があることなどを理由に見送られ、法規制のない「要注意外来生物」とされた。
 昨年6月制定の外来生物法では、生態系に影響があると認められた生物を国が特定外来生物に指定。指定種は輸入や移動などの行為が原則禁止される。違反した場合、法人は1億円以下の罰金、個人は3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科せられる。【河内敏康】
 ■特定外来生物に指定が見込まれる生物
《ほ乳類》タイワンザル、カニクイザル、アカゲザル、アライグマ、カニクイアライグマ、ジャワマングース、クリハラリス(タイワンリスを含む)、トウブハイイロリス、ヌートリア、フクロギツネ、キョン 
《鳥類》ガビチョウ、カオグロガビチョウ、カオジロガビチョウ、ソウシチョウ
《は虫類》カミツキガメ、グリーンアノール、ブラウンアノール、ミナミオオガシラ、タイワンスジオ、タイワンハブ
《両生類》オオヒキガエル 
《魚類》オオクチバス、コクチバス、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュ 
《昆虫類》ヒアリ、アカカミアリ、アルゼンチンアリ 
《無脊椎(むせきつい)動物》ゴケグモ属の4種、イトグモ属の3種、ジョウゴグモ科の2属全種、キョクトウサソリ科全種 
《植物》ナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、ミズヒマワリ 
 ◇解説=生態系保全を第一に
 特定外来生物被害防止法に基づき輸入や移動などが禁止される特定外来生物の第1陣の指定リストが31日固まった。生態系への影響が指摘されるオオクチバスをめぐって結論が一転するなど、選定作業は混乱した。生態系被害の防止を掲げる一方、利用者にも配慮するなど、選定基準があいまいだからで、環境省は生態系の保全を第一に据えて選定に臨むという強い姿勢こそが必要だ。
 オオクチバスは当初、同省の専門家による会合が「駆除には釣り人の協力が欠かせない。理解を得るのに半年間は必要」との判断から、半年間の指定先送りを決めた。市場規模年間1000億円とも言われるバス釣り業界に配慮したためだ。ところが、小池百合子環境相の決断で一転、リスト入りとなった。
 農作物などへの被害が相次ぐジャワマングースやアライグマがリストに入る一方、在来種のカメに影響を与えているミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)は「輸入数が多く、駆除も難しい。指定後に捨てられる危険もある」として指定されなかった。
 国内に定着した外来種は2000種以上にも上るという。生態系を守るための取り組みはまだ始まったばかりだ。オオクチバスなどのような混乱を引き起こさないためにも、予防原則に基づいた生態系保全の視点が求められる。【河内敏康】(毎日新聞)

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Posted by jun at 2005年01月31日 15:03 in ブラックバス問題

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