2005年01月24日

<ブラックバス駆除>オスに避妊手術、再放流 滋賀県

 琵琶湖固有の魚を食べて生態系を破壊するとして、釣った外来魚の再放流を禁止している滋賀県で、捕獲したブラックバス(オオクチバス)のオスに避妊手術を施して再放流する駆除法の研究が進んでいる。県水産試験場が漁船の上でも可能な外科手術法を開発。実験池で成果を上げており、「撲滅の決め手に」と期待が高まっている。

 ブラックバスはオスが巣作りをし、メスの産卵後も他のオスや外敵から卵を守り続けることから、この習性を“逆手”にとる。手術は精巣と精子放出口をつなぐ管を切断する方法で、精子を体外に放出できないようにする。手術を受けたオスは、精子が出ていないのに「卵は受精した」と勘違いし、未受精卵を守り続けることになる。
 バスのメスは春ごろ、複数のオスと交尾して断続的に産卵し、受精卵は数日でふ化する。体が大きくて強いオスほど優先的に営巣し、メスとの交配を繰り返しているとみられ、同試験場は30センチを超す大型のオスを捕獲した場合、避妊手術後に再放流する方が、放流しない方法よりも、結果的にバス全体の減少を早められるとみる。
 今年度は3種類の手術方法を実験池で試した。かぎ針で管を引っ張り出してはさみで切断する方法では、手術したオス15匹すべてがメスとの繁殖行動を起こしたが、うち受精に成功したのはわずか4匹。一方、手術をしなかった場合の受精率は100%だった。
 滋賀県は現在、県内の漁協を通じて外来魚の駆除事業を進めている。環境省も21日に特定外来生物被害防止法に基づき輸入や移動などを禁じた「特定外来生物」の指定リストにオオクチバスを入れる方針を決めるなど、駆除の環境整備が進む。
 同試験場の関慎介技師は「ある程度駆除が進んだ段階で避妊オスを放流すれば、バスを琵琶湖から根絶できる。不妊率の向上や効果の検証が今後の課題で、船上でもできる手軽な手術方法にしたい」としている。【平野光芳】

+Yahoo!ニュース-社会-毎日新聞

Posted by DODGE at 2005年01月24日 10:14 in ブラックバス問題

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