2005年01月13日

ミズーリ州でキャットフィッシュのヌードリングが試験的に合法に

 ヌードリング(Noodling)というフィッシング・テクニック(?)をご存じだろうか。アメリカのごく一部、特に南部地域では伝統的なキャットフィッシュ(ナマズ)の漁法として現在まで伝えられているものだが、一般のアメリカ人でさえもあまり知られていないこのテクニックが、今注目されている。この漁法はあまりにも原始的で危険なために、多数の州で禁止されているのだ。しかしミズーリ州では最近、ヌードリングが法的に認可され、一定の期間中は行なってもよいとされた。さて、そのヌードリングとは!?

 ヌードリングとは「手掴みで魚を獲る方法」の意だが、普通のアメリカ人でさえも知らないマニアックな漁法である。ごく一部の人たちによって受け継がれた単語(言葉)なので、地域によってはドッギング(dogging:四つん這いになる)、ホッギング(hogging:大きい獲物を獲る)、グラブリング(grabbling:手探りで捜す)、ティックリング(tickling:くすぐる)などと呼ばれているが、“素手でキャットフィッシュを捕まえる人たちの間”で一般的に使用されているのがヌードリングだ。公式にはハンドフィッシングと呼ばれている。
 ちなみに、ヌードリングという言葉はヌードル、つまり麺が語源だ。キャットフィッシュを触った感覚が「濡れた麺」に似ているからだと伝えられている。

 ヌードリングのベストシーズンはキャットフィッシュのスポーン期。この時期になるとキャットフィッシュはバンク沿いの穴やくぼみ、岩や倒木の間にネストを作って産卵する。バスと同様、産卵が終わると、オスがネストで卵(または幼魚)を保護する。この時期のキャットはどう猛で、ネストに敵が近寄るとバイトして威嚇する。その行動を利用して、“ヌードラー”は自分の指をネストに入れ、キャットが指にバイトしたところを引きずり出すのだ。
 だが、このフィッシング・テクニックには危険が伴う。ネストはシャローばかりではない。たとえ浅くとも、ヌードラーはマッディ・ウォーターに浸かって、未知の穴に指を突っ込むのだ。そのネストがキャットフィッシュのもかどうかは、バイトされてみないとわからない。相手がスッポンやカミツキガメであったり、ヘビだったり、もっと凶暴な獲物かもしれないのだ。また、河川などでは巨大な流木が流れてくることもあるだろう。しかしヌードラーたちは、「そんな危険と隣り合わせな部分にスリルがあって楽しい」と胸を張る。
 時には1mをゆうに越えるモンスター級のキャットフィッシュに手首まで吸い込まれることもあるため、手袋をして挑むヌードラーがいるらしいのだが、“リアル・ヌードラー”は素手で勝負する。どんな獲物なのか、その位置、体勢などを指先の感覚だけを頼りに捕まえるこのメソッドは、やはり素手がベストなのだという。
 またシュノーケルを使用して潜る人もいて、ヘビーラインにフックをセットし穴のキャットにフッキングしたのち陸に上がり、陸から引き寄せるのもヌードリングと呼ぶらしい。
 
 ヌードリングで獲るキャットフィッシュの種類は……とにかく獲れればヌードラーにとってはおかまいなしだが、主にフラットヘッド・キャットフィッシュ、ブルー・キャットフィッシュ、そしてチャンネル・キャットフィッシュが多い。
 またヌードリングの起源は古く、アメリカ開拓時代にまで遡る。元来、ネイティブ・アメリカンが行なっていた漁法らしい。
 ヌードリングには危険が伴うため、多くの州で禁止されている。現在これが認可されているのは、ネブラスカ州、アーカンソー州、アラバマ州、ケンタッキー州、イリノイ州、ミシシッピー州、ノースキャロライナ州などマッディ・ウォーターで、キャットフィッシュが100Lbを越え水獣レベルに成長する南部域に集中している。禁止されている州でヌードリングをすると、罰金刑に処される。
 
 ところがこの度、ミズーリ州自然保護委員会は、ミズーリ州を囲むイリノイ州、アーカンソー州、オクラホマ州やその他8州でヌードリングが合法化されていることもあり、試験的に2005年6月1日〜7月15日までの45日間をヌードリングのオープンシーズンにすると発表。委員会は、その危険な漁法もさることながら、スポーン期のキャットフィッシュを大量に獲ることによる乱獲や、生態系維持の部分に注目している。2006年以降の予定についてミズーリ州は、今夏のデータを基に決定するという。
 ミズーリ州でヌードリングを希望するヌードラーは、6月1日〜7月15日の期間に限り、7ドルのフィーを支払う必要がある。これにより、1日5尾のリミットでフラットヘッド、チャンネルキャット、ブルーキャットを“キャッチ”することができる。22in以下のキャットフィッシュは即時リリースが義務づけられており、シーズンエンドには何尾捕獲したかをレポートしなくてはならない。またヌードリングが許可されている水域もファビアス、セント・フランシス、ミシシッピー・リバーの3河川に限定されている。
 
 さて、このヌードリング。巨大なチャンネル・キャットフィッシュが棲息する茨城県霞ヶ浦で今後流行することはあるのだろうか……。
 
ヌードリングの参考ウェブサイト:
+MSNBC-Missouri legalizes bare-hand fishing
+Discover the Outdoors-noodling

Posted by DODGE at 2005年01月13日 17:03 in 海外フィッシング事情

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