2005年03月03日

MORIZO'S U.S.TOURNEY FILES「FILE5」

FILE 5 悔しいけど、エエ気分
バスマスターツアー第3戦レイク・ガンタースビル大会編

 いやぁ、今回のトーナメントはホントに楽しかった。会場もかなり盛り上がっていて、「みんなオレのために盛り上がってくれて、アリガトー!」といった感じで、ちょっと浮かれた(笑)。周りは「30Lbを釣っても勝てへんの!?」といった雰囲気で、「よぅ釣ったな〜。オマエ、スゴいやんけ」と言ってくれた。私は自分が不幸な星のもとに産まれてきた子だと思っていたが、やっと私にも神様が微笑んでくれた。というか、これが私の実力なのだぁ!(爆笑)。

 フロリダ戦が終わって、ガンターズビルの展開にはおよその予想がついていた。今回はとにかくリアクションベイトを巻きまくってやろうと、ルアーもトラップ系(バイブレーション)、クランクベイト、ジャークベイト、スピナーベイト(Dゾーンの3/4oz)だけでパターンを組もうと考えていた。事実、この湖ではワームを使う機会がなかった。腕がパンパンになるくらい投げて巻くの繰り返し。
 プラクティスは3日間行なったが、初日から3尾、1尾、1尾しか釣れなかった。しかし、釣れないからという焦りはなく、とにかくパターンを捜すことに専念した。昨年の大会でチェックしたエリアに入ってはみたものの、ルアーを投げることもなく、様子を見るだけで終わった。クランクベイトで3Lbクラスを釣ったが、それだけが唯一の頼りだった。ただプラクティスの2日めにサンダーストームが通過して、湖のコンディションが不安定になった。水は濁るし、水位も増加、カレントも強くなって、これが本戦のパターンにどれだけ影響するのかだけが不安だった。
 今回のプラクティスでは日本からメディアのカメラマンが同船していた。バスマスタークラシックで大森(貴洋)が「アメリカ人にシャローの釣りを教えてやる」と言って勝ったことを聞いていたので、「今回はリアクションベイトの釣りをオレがアメリカ人に教えてやる!」と豪語していた。釣れてないのに(T-T)。それが本戦に入ったら実際にガンガン釣れたから、私自身が一番驚いた(笑)。
 あまり釣れなかったとはいえ、なぜかプラクティスが終了してから「なんか明日からは釣れる気がするわ〜」と思っていた。これは希望的観測ではなくて、以前にも何回が経験している。カッコよくいえばトーナメントアングラーの第六感なのだが、本当に釣れる気がしていたのだ。今思うと、どれだけプラクティスがダメな結果に終わっても、「本戦では絶対釣ったるんや」という気合いが大事だということなのかもしれない。やっぱりトーナメントには熱いハート、強いメンタリティーが重要なのだ。
 
 初日は昨年チェックした場所に行ってみた。クランクベイトを流すがバイトがなく、すぐにスピナーベイトにチェンジ。すると、連チャンで4Lb、3Lbが釣れてきた。「(今回、オレは)キテるなーー!」と思いながらも移動した。次のスポットでもすぐに6Lbが釣れて、「絶対イケる」と思いはじめた。
 なんだかんだでリミットが揃って、試合時間が長く感じて仕方がなかった。なにしろ今年は理不尽な失格も味わっているし、なんとかバスをいい状態のままウエイインしたいという気持ちで帰着時間より20分も早くウエイイン。
 正直なところ、初日から20Lbをウエイインできるとは思っていなかった。昨シーズンの手応えや過去のトーナメント結果を見ると、6Lbクラスやそれ以上のビッグフィッシュも多くウエイインされている。だから、グッドフィッシュを数尾混ぜられれば20Lbも夢ではないが、ここまでいい結果で2日めを迎えられるとは思っていなかった。
 2日間合計で40Lbあれば決勝に残れると予測。ただし、40Lbを釣りたいというより、楽しく釣りたいという気持ちのほうが強かった。フロリダで“イワされた”後だけに単なる開き直りかもしれないが、気持ちに余裕があったお陰で、まったく緊張することなく2日めを迎えられたのだ。
 2日めも朝一番にビッグフィッシュが釣れて、11時半の時点でリミットメイクを達成した。18Lbくらいを持っていて、それから入れ替えをして20Lbになったわけだが、もう気が動転して、「どうしよ〜。まだ2時間半も湖上におらなアカンやん。40Lbあったら決勝に行けるよな〜」とブツブツ言っていた。「でも、最高峰の試合に出てて、2時間半も前に帰ったら失礼やろな〜」と思った。あれほどフロリダで叩きのめされたというのに、調子のいいときは、エラそうなことを考えるものだ(笑)。そこでなんとか決勝用のプラクティスをして時間を潰し、残り45分という時点で帰着した。
 それでウエイインすると、2つ分くらい前のフライトのアングラーと一緒になって、彼らに「ちょっと待てよ、オマエは何番フライトやねん」と言われながら帰着手続きをした。45分残してウエイインするのは、相当早いということなのだろう。……と、ここまでは余裕があったものの、実際に決勝に残れることがわかったら心臓がクチから飛び出すかと思うくらいの緊張感に襲われた(笑)。

 決勝初日は持っているエリア、テクニックをオールイン(ポーカー用語。持っているものを全部賭けるという意味)するつもりで挑んだのだが、キャッチできたのは3尾。12Lb程度のウエイトで帰着した。この日は風速2 0マイル(毎秒約9m)の風も吹いていて、レイクのコンディションはあまりよくはなかった。このコンディションにうまく合わせることができなかったのだ。また、この日は同じ湖でBFLの大会が開催されていたので、そのプレッシャーも多少あったのだろう。

 3日めを終えてトップとの差は約7Lb。周りから見れば「モリゾーは終わった」という感じだったのかも知れない。しかし決勝最終日の朝、私は「なんや、たった7Lb差か。30Lb釣ってきたらエエんやろ。7Lbくらい余裕で逆転できるわ〜」と思っていた。プラの終了時と同じく、本気で、である。単純計算で6L bを5尾釣れば30Lb、ガンターズビルは充分そのポテンシャルのある湖だと信じていたからだ。やはり信じることは大切なのだ。
 朝一番に6Lb、6Lb、3Lbと連チャンできて、気分はノリノリ。3尾で15Lb、「ホンマに、どれだけ釣れるんよ、ココは」とツタない英語を使いながら、同船したESPNのテレビクルーに話しかけた。その後も1尾を追加したが、最後の最後がまたスゴかった。

 残り15分くらいになって、カメラマンに「オレは諦めへんねん。ネバー・ギブアップや!」と、やはりクラシックでの大森のように言っていたら……きたのだ、6Lbが。私以上にカメラマンが興奮していて、「オマエ、リミットメイクやんけ。ヤバイぞ、これは。にじゅー……25Lbくらいはあるやろーーー!」と叫んでいた。それでも私は「まだまだ、ネバー・ギブアップなんや」と引き下がらなかった。
 それで、ラスト5投したら帰るからと伝えて、ゴッー、ヨンッ、サンッ、ニッ、イチッで、ガッツーンと6Lb15ozがきた。これは、私が釣りビジョンでやってる番組(MORIZO帝国)でもよくあることで、最後の1投でよく釣れる。今回は試合中にESPNのテレビクルーの前で再現できた。来週放送される番組にこのシーンが出てくると思うと楽しみだ。たしか、バスマスターは日本の「スポーツ・アイESPN」で放映されていると思うのだが……放映されたら、日本のみんなにぜひ観てほしいと思う。
 
 というわけで、30Lbをウエイインしたが優勝できなかった。まさかゼル(ローランド)が27Lbを持ってくるとは……(T-T)。でも自分も精一杯やったし、いっぱい釣れたし、満足のいく大会だった。悔しいんだけど、嬉しい結果だったといえる。

 今シーズンの目標は「バスマスターで1回以上決勝に残る」だったから、あとの3試合でもなんとか決勝に残れるように頑張りたい。
 ところが、昨シーズン痛めた腰がまた痛くなりはじめている。試合中はなんともなかったのだが、次戦への移動中にピリピリと神経を圧迫する痛みが出てきた。5試合を消化して、そろそろ身体に疲労が貯まってきた感じだ。試合前には痛みが消えるよう願いたい。

清水盛三さんへの応援メールは、清水盛三公式ウェブサイト「MORIZO WEB」から。

Posted by DODGE at 2005年03月03日 10:10 in MORIZO'S U.S.TOURNEY FILES

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