2005年02月04日

MORIZO'S U.S.TOURNEY FILES 「FILE2」

FILE 2 俺はトーナメントに向いてるんだろうか!?
BASSバスマスターツアー第1戦レイク・トホ大会編

 いきなりのヘタレモードだが、2大会連続でボロ負けして「メチャメチャ複雑」というのが現在の率直な心境だ。試合前は、まさかこんな惨敗を味わうとは思っていなかった。釣れない選手が多い中で、実際に大森貴洋は釣れてたわけで、彼の優勝は同じ日本人として嬉しい。でも、お祝いムードに100%浸れないのは、自分の不甲斐なさがあるからだ。151位で終わったのも悔しいが、心理的には2日めのノーフィッシュのほうが辛い。どん底まで落ちた感じだから、後は這い上がるだけか……。自分の力のなさに直面した大会だった。

 公式プラクティスの初日に、これまたひっくり返るくらい極上のスポットを発見した。テクニックはフリッピングで、エリアに入ってすぐに3Lbをキャッチ。その後もワンストレッチを流す間に2バイトがあって、これもなかなかの手応えだった(後の2尾はフッキングせず、シェイキングして意図的に外した)。これで「このスポットは絶対に押さえの場所に使えるな」と考えた。
 他のアングラーも決して釣れている雰囲気ではなく、この大会は1日15Lb、2日間トータルで30Lbあれば決勝に残れると予測。フロリダ戦にしてはスモールウエイトかもしれないが、現状のレイク・トホならこれが精一杯の目標ウエイトだろう。以前にも書いたように、「バスマスターツアーで決勝に進出する」というのが今シーズンの目標。もちろん優勝はしたいが、まずは決勝進出を重要視したかったのだ。結果的に、決勝へは20Lb程度で残れたようだ。
 リミットメイクをするためのエリアをレイク・ハチナハ、レイク・サイプレスに確保して、ウエイトアップのためのフリッピングエリアをレイク・トホに見つけた。2日めのプラクティスでトホから最長距離にあるレイク・キシミーに向かったら、6パウンダーが釣れてしまった。3時間くらいウイードマットを1oz以上のシンカーを搭載したテキサスリグで撃って、やっと釣れた1尾だ。でも、このサイズがキシミーにどれだけいるのか、また、果たして本戦でこのサイズが釣れるのかは想像がつかなかった。だから、本戦のメインエリアはトホ、バックアップをハチナハとサイプレスと決めた。
 プラクティス3日めは、いろんなパターンを想定して走り回った結果、ノーフィッシュで終わる。「これは走り回って集中してなかったから、釣れへんかったんやない。状況が変わってきたんや」と思っていたら、案の定、レイク・コンディションが変わっていた。プラクティス初日にコールドフロントがレイクを通過して、一気に気温が低下した。その日、バスはいつもどおりだったが、私が判断するところ、自然界では多少のタイムラグがあって、プラクティス3日めにバスに影響しはじめた。トホは日本でいうと野池のように浅くて、一度突風が吹き抜けるとニゴッて状況が一転二転する。これをまだ理解できてなかったのかもしれない。
 ただしプラクティス初日に調子のよかったエリアに手をつけず3日めを終えたから、気分的には焦らず本戦初日を迎えることができた。

 初日は霧でスタートが2時間半ほど遅れた。とりあえずメインエリア(レイク・トホのフリッピングスポット)に向かった。すると、何たることか、プラクティスのときにはいなかったエサ釣り師(ライブベイトのシャイナーでバスをねらう人たち)が、5、6艇、小さなボートに乗って浮いているではないか!
 悪夢が蘇った。昨年のFLW TOURオキチョビー大会で、もうメチャメチャ釣れる場所を持ってて、興奮して眠れなかったくらいの場所があった。実はあのときも、本戦の日、そんな一級スポットにエサ釣り師が浮いていた。「ということは、ここは釣れる場所なんや。自分の選択は間違ってなかった。よかった〜」と思ったが、「待てよ。そんな余裕を言ってる場合じゃない。俺が釣りできひんやんけ」と。一応マナーとして、エサ釣り師の周りで釣るわけにはいかない。たぶんあのときの私は顔面蒼白状態だっただろう。
 仕方なく、そのエリアの端のほうでフリッピングしてワンバイトあったが、ノセることはできなかった。それで「これは危険やぞ。絶対に他の選手も釣れてないはずや。なんとかリミットだけ揃えなアカン」と思って、レイク・ハチナハの“キーパー場”に移動した。
 移動してすぐにD-Zoneで1尾を釣ったが、その後が続かず帰着した。
 何が辛かったかといえば、自分では釣れる、リミットがとれる、最低でも10Lbをウエイインできると思ってたのに、結局1尾しかウエイインできなかったことだ。今年のテーマに「戦略と戦術」を掲げてたけど、この初日ではまったくそれが噛み合わなかった。全体的に釣れてない感じだったから、「最初から『戦略と戦術』をもっと考えてやるべきやった」と感じても後の祭り。初日は5バイトあって1フィッシュしか獲れなかった。「1、2尾バラすことはあっても、残りはちゃんと釣っとけよ」と自分にツッコんでしまった(苦笑)。
 
 2日めの朝、ケロッと開き直った私は「なんや、18Lbくらい釣れば、決勝に残れるんちゃうの」と安易な気持ちを持っていた。レイク・トホにはこれくらいのウエイトが釣れるポテンシャルがあるし、不可能ではない。実際、大森は2日めに約18Lb釣っている。少なくとも50位くらいに入れるウエイトを持ち帰りたいと思っていた。
 ところが全然バイトがない。パートナーのライトテキサスにバイトがあって、私もテキサスリグにチェンジするが、この展開が間違いだった。スピナーベイトを巻くパターンからテキサスにチェンジしたことで、リズムが完全に狂ったのだ。
 その後レイク・トホのフリッピングスポットに移動するが起死回生ならず、3 バイト・ノーフィッシュで終わった。

 今回はトーナメントに参戦するようになって、“あること”をはじめて経験した。それは2日めの試合中、「俺って釣りがヘタやな」と真剣に感じたことだった。「トーナメントに向いてないんとちゃうかな」とまで感じた。完全に自信を喪失。どうしてこんな状態になってしまったのかを自分なりに考えてみたが、やっぱりハートの問題だと思う。熱いハート、「俺やったら、絶対にリミットくらいはとれるんや!」という気持ちを持続できるハートの強さが足りなかった。一流のプロアングラーは、崩れたときに踏ん張れるし、「ここで転けたらアカン!」と集中できるのだろう。
 これは言い訳なんだけど、Basserオールスター・クラシックで負傷した右親指が完治してないから、今は左手でキャストをしている(普段は右投げ、右巻き)。だからどうしても、アキュラシーに欠けてしまって、カバーに対して10cm、15cmズレる。たった10cmだけど釣果に差がでる。しっかり体調管理して臨むのもプロの仕事。だから「万全な体調で出ないと、他の選手に失礼やな」とも感じた。万全であっても勝つのが難しい連中を相手にしてるのに……。
 
 「う〜ん、アカンアカン。なんのために俺はアメリカまで来ているんや。こんなヘタレ状態、とっとと脱出したるわい!」……と自分に言い聞かせながら、毎晩親指の付け根にお灸をすえて痛みが取れるよう治療している。次戦はバスマスターツアー第2戦ハリスチェーン大会だ。ここは過去にいい成績を残せていないが、今回で3 回めなので、次はやるぞ、と意気込んでいる。みんなにもいい報告したいしね!

清水盛三さんへの応援メールは、清水盛三公式ウェブサイト「MORIZO WEB」から。

Posted by DODGE at 2005年02月04日 09:04 in MORIZO'S U.S.TOURNEY FILES

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