但馬でもアライグマの食害深刻化、豊岡ぶどう標的に クマの被害より多く、県が防除へ実証実験

 豊岡市の特産「豊岡ぶどう」で、特定外来生物に指定されるアライグマによる食害が目立っている。以前は阪神間-中播磨地域の被害が大きかったが、県北部にも広がり、農家が丹精して育てたブドウも収穫時期を狙われている。県豊岡農業改良普及センターは本年度から、専門機関や生産者らと連携して防除に向けた実証実験に取り組み、効果が出始めているという。(阿部江利)

 県森林動物研究センター(丹波市)によると、県内のアライグマは1990年代、神戸市を中心に人家周辺の生息が確認された。阪神間、播磨、丹波地域へと急速に生息域を広げて被害は深刻化しており、近年は但馬地域でも被害の報告が増えている。

 同普及センターによると、JAたじまの葡萄(ぶどう)部会員から昨年、クマによる食害の報告があり、今年2月に会員らに被害アンケートをした。28軒の複数回答を分析すると、クマの13軒よりアライグマが15軒と多く、県が2024年度から実施している防護柵の実証実験を但馬でも実施することにした。

 実験は同研究センターの尾畑俊彦さんらが担当した。防護柵は、ブドウ畑の周囲に高さ約40センチの樹脂ネットを張って上部に電気を流し、侵入しようとするアライグマの鼻やあごにショックを与える。

 実証には豊岡市出石町伊豆でブドウ畑約25アールを手がける農家、寺内康信さんが協力した。7月、寺内さんの畑の自動撮影カメラにアライグマが映り、侵入を確認。畑のうち約10アール分、外周約150メートルに防護柵を設置し、収穫開始を迎えたが、防護柵の畑では被害が出ていないという。

 本格就農して4年目の寺内さんは、毎年100房近く食べられてきた。「被害額以上においしくなるよう収穫を待ち、いよいよというタイミングで食べられてしまうショックでこたえる」といい、防護柵導入で「食べられていないか確認する手間が省け、気持ちも楽になる」とほほ笑む。

 7月末には、寺内さんの畑で生産者向けの現地研修会を開いた。独自に防護柵を設置する農家もあり、同研究センターは効果を検証して生産者らに還元するという。

 尾畑さんは「収穫時期だけでなく雪解け後の春から通電を続け、近寄りたくない場所と覚えさせることも大事」と話している。

+Yahoo!ニュース-地域-神戸新聞NEXT