特定外来生物クリハラリス(別名タイワンリス)が島原半島で定着していることが確認された。五島・福江島と壱岐島では定着が確認されているが、県本土地区では初めて。かつて飼育していた観光施設から逃げ出したリスが繁殖したものとみられる。調査した森林総合研究所九州支所(熊本市)は、繁殖力が強く、農林業や生態系への深刻な影響が懸念されるとして「根絶に向けた取り組みを早急に始める必要がある」と警鐘を鳴らす。
クリハラリスはもともと東南アジアなどに生息する外来リス。樹木の皮剥ぎや果樹の食害など深刻な農林業被害を引き起こす。定着が確認された南島原市布津町には、かつて観光施設「雲仙リス村」(2004年閉園)があり、閉園後も周辺で外来リスの目撃が続いていた。
安田雅俊・同研究所地域研究監らの研究チームは昨年12月~今年2月に計3回の現地調査を実施。クリハラリスに特徴的な「環状食痕」(樹液を摂食するため樹皮を環状に剥いだ跡)を、雲仙リス村周辺(布津町と隣接する深江町)の8地点34カ所で確認した。自動撮影カメラに写った画像を解析し、外見的特徴からクリハラリスと判断した。6月に県生物学会誌で報告した。
五島・福江島のケースでは、かつて鬼岳山麓にあった観光施設から逃げ出したとみられるクリハラリスが野生化。1997年ごろからツバキの実が食い荒らされるなどの林業被害が報告された。五島市では1匹千円の報償金を出して駆除を進めている。これまでに約4万匹が捕獲されたが根絶には至らず、2020年以降も毎年2千匹前後が捕獲されている。
安田地域研究監はこうした状況から、島原半島でも調査範囲以上に生息域が広がっている可能性を指摘。「個体が拡散すれば、将来的には九州全土で農林業や生態系への深刻な影響が懸念される」として、行政などによる広域調査や早期の捕獲といった対策の必要性を訴える。
対岸の熊本県宇土半島では、観光リス園から逃げ出した外来リスが野生化。一時は5千匹まで増えたが、行政と地域の連携により25年にほぼ根絶状態に到達した。
