梅や桃、桜などを加害する特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」が、和歌山県内で急速に勢力を拡大させている。2025年12月には県中部の印南町で初めて被害を確認。国内有数の梅産地・みなべ町と田辺市と隣接しており、被害が広がれば深刻な影響が出かねない。県やJAなどは未発生の地域での警戒を促す。
クビアカは、幼虫がバラ科の樹木内部を食害し、最終的に収量低下や枯死を引き起こす。強い繁殖力で国内の生息域を広げており、現在は16都府県で被害が確認されている。
同県内では19年に初めてかつらぎ町で被害が発生。しばらくは県北部にとどまっていたが、23年以降は梅の栽培が盛んな県中部に被害が拡大。17市町の園地や街路樹で被害が確認されている。
昨年12月10日には県中部の印南町内の梅園地2カ所で、5本の被害樹が見つかった。県によると、被害樹は速やかに伐採され、現時点では他の被害は確認されていないという。
ただ、同町は国内有数の梅産地・みなべ町と田辺市に隣接する。クビアカの成虫は年間で2、3キロ移動するとされ、県は「もし両市町に被害が広がれば、和歌山の梅産業にとって大きな打撃になりかねない」(鳥獣害対策課)と危機感を抱く。
県はJAなどと連携して農家や地域住民への周知に力を入れている。同年8月下旬には、田辺市で対策研修会を開催。座学中心だった研修から、ネットの被覆方法の実演なども交えた内容にアップデートした。
効果的な防除体系の確立に向け、県の果樹試験場が産卵抑止効果を確認した目合い0・3ミリの白色ネットの活用や、一斉防除の有効性などについても検証していく。
拡大を防ぐには被害の早期発見が欠かせない。県の防除対策マニュアルによると、目印となるフラス(ふんと木くずの混合物)は幼虫が活動する3月下旬から11月にかけて確認しやすい。冬場でも幼虫が活動休止前に排出したフラスが見つかることがあるため「冬季中の見回りも大切」(県果樹試験場うめ研究所)だ。
