2024年10月。休日には家族連れで賑わう那覇市の公園の池が、突如柵に囲まれました。1年以上が経過した現在も、池は柵に囲われたままです。海外で爆発的に増加し問題となっている「特定外来生物」が見つかったのです。
那覇市の「天久ちゅらまち公園」の池は、市街地の貴重な水辺。夏になると蓮の花が咲き、小さな生き物たちを捕まえようと子どもたちが集う遊び場でした。そんな池で見つかったのが…「ミステリークレイフィッシュ」。ザリガニの一種です。
このどこか冒険心をくすぐる名前の特定外来生物は、茶色や緑がかったこげ茶色の体色に、小さなハサミと体の側面のマーブル模様が特徴。大人しそうな見た目をしていますが、生態系に侵入すると厄介な存在です。
■メスだけで繁殖! 自分のクローンを作る
環境省によると、メス単独で増殖する単為生殖で、一度に400個以上の卵を持つなど、驚異の繁殖力を誇ります。ひとたび定着すると根絶は非常に困難とされています。そのミステリークレイフィッシュが、去年8月、天久ちゅらまち公園の池で発見され、日本で初めて定着していることが報告されました。
那覇市と環境省・沖縄奄美自然環境事務所は、池の立ち入りを制限して調査を開始。どうすれば根絶することができるか対策を検討していますが、簡単にはいきません。
■池の水全部抜いて… それができない事情が
一定期間、池を埋めることも検討されましたが、専門家に意見を求めたところ、底の下層に水分を含む泥がある以上、そこで生き続ける可能性があり、どの程度埋めておけば根絶するのか、予測が難しいとの結論に至りました。
そもそも埋め戻すには、まず池の水を抜く必要がありますが、水と一緒にミステリークレイフィッシュが流出する可能性があり、対策は難航を極めています。
市の担当者は…
「一匹でも残してしまうと増える。前例がないので慎重に、完全に防除できる方法を選んでいかないといけない」
現在、フィルターを使っての排水や、泥をかき出して乾燥させる方法などを慎重に検討中で、結論には2025年度いっぱい、時間をかけるそうです。
■国内初!環境DNA調査による生息確認の手法を確立
ミステリークレイフィッシュの定着が報告された後、沖縄奄美自然環境事務所には、「これもミステリークレイフィッシュではないか?」といった通報が相次ぎました。そこで事務所が取り組んだのが、「環境DNA」を調べる調査です。
環境DNA調査はまず、生物の生息が予測される場所の水を採取します。そして、そこに含まれる生物のフンや抜け殻などの細胞からDNAを抽出するのです。こうした環境中の証拠と調べたい生物のDNAと比較することで、その生物がそこに生息しているかどうかを判断できるというわけです。
ミステリークレイフィッシュの場合は、国内で広範囲に生息するアメリカザリガニなどとの違いを明確に判別できるかがカギとなっていましたが、今年9月に天久ちゅらまち公園で行われた調査によって、ミステリークレイフィッシュのDNAが問題なく判別できることが確認されました。
環境DNA調査を使ったミステリークレイフィッシュの調査手法が確立されたのは日本で初めてです。
■一層の生息地拡大を懸念、できる対策は
今年9月以降、沖縄奄美自然環境事務所では、情報が寄せられた那覇市内のビオトープや浦添市内の水辺でも調査を実施。いずれの場所でもミステリークレイフィッシュの定着が確認されていて、生息域がますます拡大することが懸念されています。
沖縄奄美自然環境事務所によると、特定外来生物であるミステリークレイフィッシュを許可なく運搬・飼育するなどした場合、外来生物法違反となる可能性があります。
すでに自宅で飼育してしまっている、あるいは子どもが誤って持ち帰ってしまった場合なども、決して野外に放流せず、連絡するよう呼びかけています。
◆連絡先:環境省沖縄奄美自然環境事務所(電話:098-836-6400)
