危険外来植物が拡大 果実にトゲ「メリケントキンソウ」

 南米原産の外来植物で熟れた果実に鋭いトゲがある「メリケントキンソウ」が兵庫県立尼崎の森中央緑地(尼崎市扇町)で確認された。県内では10年ほど前から猪名川河川敷や三田、明石市の公園などで見つかり、生息域が広がっている。トゲによるけがや、在来種を脅かす可能性があり、駆除が必要だが、繁殖力が強く難航。同緑地も撲滅に向けた対策に躍起だ。(中川 恵)


 メリケントキンソウはキク科の一年草で、背丈が低く、芝地などに生える。県立人と自然の博物館の藤井俊夫研究員(55)によると、日本では2000年代から急速に広がり、関東以西のほぼ全ての都府県で確認されている。5、6月に実がなり、靴の裏などに付いて広がる。河川敷では増水で種が流されると、一気に生息域が拡大するという。
 同緑地は15年、大芝生広場とパークセンター前のエリアに芝を張った。メリケントキンソウは見掛けるたびに抜き取っていたが、17年から18年にかけてパークセンター前に遊具が設けられると、利用者が増え、その結果、爆発的に広がった。
 同緑地は、駆除経験が豊富な自治体に相談するなどし、今年から抜本的な駆除に乗り出した。刈り払い機を使うと種が飛び散ってしまうため、手で抜くしかない。それではあまりにも時間がかかることから、薬剤散布を選択。4月13〜19日に芝生など約4千平方メートルのエリアを封鎖して薬をまき、5月22〜31日に再度、薬をまいた。2度の駆除でほとんど目に付かなくなり、今年の夏は乗り切れそうなぐらいまでに。ただ、来年以降も経過観察を続ける必要があるという。
 今年は新型コロナウイルス感染拡大に伴う「3密」防止のため、4月17日から約1カ月間、遊具を封鎖した。利用者が減ったことでメリケントキンソウの拡大を防いだ側面も。同緑地の石丸京子さんは「たとえ撲滅できなくても、密度が下げられれば害は減らせる」とし、今後も続く「密」との闘いに気持ちを引き締めている。
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