日本に生息しない外来爬虫(はちゅう)類が、10月下旬から相次いで紀北地方で保護され、海南市の県立自然博物館に持ち込まれている。最近は日本で珍しい外来生物もホームセンターなどで取り扱っており、野生化した場合、病気を媒介したり生態系を壊したりするため、同館は「今後、紀南でも警戒が必要になってくる」と話している。
持ち込まれたのは、オーストラリアの森林や砂漠地帯などの内陸部に生息するフトアゴヒゲトカゲ(全長46センチ)と、アフリカ大陸西部から中央部に生息するサバンナオオトカゲ(同50センチ)、中央アジア西部の砂漠地帯に生息するロシアリクガメ(甲長15センチ)の3匹。これらはペット店やホームセンターなどで普通に売られている種類。
フトアゴヒゲトカゲは10月25日、和歌山市山東の住宅地で捕獲された。非常に人慣れしており、ペットが逃げ出したか、捨てられたとみられている。飼育展示している。
リクガメは11月上旬に同市手平、オオトカゲは同月中旬に海南市下津町で、それぞれ住宅地で保護された。リクガメは甲羅が傷んでいるため、捨てられたと考えられている。オオトカゲはまだ子どもで、自分で逃げ出したとみられる。体調を崩しており、今のところ展示予定はない。
これらは人に危害を加える可能性は低いが、さまざまな寄生虫や病原菌の媒介などが心配される。さらに、日本の生態系に大きな影響を与える可能性もあるという。
同館は「恐れていたことが起こってきた。国内で繁殖させて価格が下がるとアクセサリー感覚で飼う人が増えてくる。これに伴い、放ったり、逃げたりすることも多くなる。飼い主は責任を持って飼ってほしい」と呼び掛けている。 (紀伊民報)