2006年12月05日

小魚安心、木の住居、ブラックバス排除 仙台・梅田川

 ブラックバスが入り込めない小魚用の木製魚礁が、宮城野区の梅田川・新田大橋付近に完成した。魚のすみやすさを考えた環境共生型魚礁の設置は宮城県では初めてで、全国的にも珍しい。仙台市のNPO「河川整備研究会」(笹正樹代表)と県の協働事業で、成功すれば小魚の繁殖場所として普及が期待される。

 間伐材や流木を組み合わせた魚礁は、テラス状で長さ12メートル、幅3メートル。壁に1―2センチのすき間があり、小魚だけが通り抜けられる。

 ブラックバスは湖や沼だけでなく、河川でも急増。笹代表によると、梅田川にはかつてハヤやオイカワ、カジカなど約50種の在来種がいたが、バスやブルーギルに駆逐され減る一方だという。「バスに追われても魚礁に逃げ込める。木の表面に藻が付いて餌の供給源にもなり、小魚が安心してすめる」と説明する。

 基礎部分の一部を除きほとんどが手作り。耐久性を考慮し、浸水する部分には鉄くぎや金属製ボルトは使用していない。テラス上部には、近くに自生していたクレソンを移植。根が水中に伸びれば、小魚の餌となる。

 従来、護岸に設置されたコンクリート製の魚礁は枠だけの構造。「魚は草や木がないと生きられない。身を隠す場所もないため、全く寄りついていない」と笹代表は指摘する。

 研究会は昨年、コンクリートブロックと木を組み合わせ、小魚がすめる魚礁を開発し、特許を取得した。だが、ブロックの製造コストがネックになっていた。

 魚に優しい魚礁の設置が、本年度の県のNPO推進事業に選ばれたことから、コンクリートを使わず、木で作ることを考案。「間伐材を使ったので値段が安く済んだ。木製だと、どんな川でも地形に合わせて設置できる」と笹代表は胸を張る。

 上部には開閉式の窓を付け、小魚の生息状況を観察できるようにした。今後、研究会が効果を検証していく。
 県仙台土木事務所の平間光雄土木部技術副参事は「自然に優しい護岸整備として取り組んだ。この仕組みが成功すれば、ほかの河川や湖沼にも広く応用することができる」と注目している。
(河北新報)

+Yahoo!ニュース-東北-河北新報

Posted by jun at 2006年12月05日 15:12 in ブラックバス問題

mark-aa.jpg