滋賀県は29日、琵琶湖の漁業や、竹生島(長浜市)と伊崎半島(近江八幡市)の森林を枯らすなどの影響を与えているカワウを、銃器駆除などで現在の10分の1に当たる4000羽まで減らすことを目標とする計画素案を、県カワウ総合対策検討会議に示した。
県は「カワウは繁殖力が強く、被害減少には個体数を大幅に減らす必要がある」としている。
素案では、2011年度までの短期目標に「個体数の顕著な低減」を掲げ、その後の長期目標として個体数を4000羽まで減少させる、とした。
このうち来年度は銃器による駆除を約50回、約2万羽(本年度は約30回、約1万5000羽)に拡大する。営巣地の竹生島と伊崎半島のほか、河川などの漁場でも行い、漁業被害を食い止める。
駆除作業をしやすくするため、竹生島と伊崎半島に歩道を設置することや、繁殖を防ぐため巣を破壊することなども盛り込んだ。
ただ、この日の会合で藤本修委員(日本野鳥の会滋賀支部)は「これだけ大量の鳥を駆除する例は聞いたことがない。銃器で9割も減らすことが実現できるのか」と素案に疑問を投げかけた。
竹生島では、カワウのふんや営巣で樹木の3分の2が枯れるなどの被害が出ている。伊崎半島の国有林約も50ヘクタールのうち約27ヘクタールで立ち枯れなどが起こっている。
県は素案を来年3月までに総合計画にまとめる。 (京都新聞)