◇「全国豊かな海づくり大会」プレイベント−−大津
来秋滋賀で開催する「第27回全国豊かな海づくり大会」のプレイベント「湖(うみ)づくりフォーラム 人と森と湖と〜かけがえのない生態系を未来に〜」が12日、大津市のびわ湖ホールであり、パネル討論や稚魚の放流などが行われた。
大会は来年11月10、11日、大津港周辺とびわ湖ホールの会場で開かれる。水産資源の維持や海の環境保全への意識啓発、水産業の振興などが目的の大会で、湖を舞台にして開かれるのは初めて。
この日のパネル討論には▽作家の立松和平さん▽京都大フィールド科学教育研究センター長の田中克さん▽琵琶湖の漁師三代目の松岡正富さん▽霞ケ浦生態系研究所長の浜田篤信さん▽嘉田由紀子知事――が参加し、NHK解説委員の谷田部雅嗣さんがコーディネーターを務めた。
琵琶湖の現状にも詳しい立松さんはフナズシについて「現存する最古の食品と言ってもいい。フナズシ、ニゴロブナ、琵琶湖を守ることは我々の食文化、暮らしを守ること」と話し「琵琶湖は日本列島の真ん中にある鏡。琵琶湖が良ければ日本はいいし、悪ければ悪い」と、琵琶湖が日本の文化や環境の状況の“バロメーター”であることを指摘した。
松岡さんは漁獲量の激減や、自分の代で環境悪化が急進行していることを説明。嘉田知事は、環境社会学者として琵琶湖周辺の集落を30年間歩いてきた経験から「狩猟採集時代から情報時代まで、琵琶湖は人類の歴史が凝縮されている珍しい場所。文明社会の再生のモデルの場所にもなる」と言い、昭和30年代ごろまで機能していた自然を汚さない暮らしぶりから、現在を検証・反省することの重要性などについて語った。【服部正法】 11月14日朝刊