◇漁協、4カ所を操業自粛区域に
県は9日、宍道湖西岸の河川などで採取したシジミから基準値を超える残留農薬を検出したと発表した。直ちに人体への影響はないとみられる。宍道湖漁協(坂本清組合長)は西岸の4カ所を操業自粛区域とした。また、県は漁業者や流通業者への説明会を開いた。
検出されたのは除草剤「チオベンカルブ」。斐川平野で米や麦の栽培に使われている。残留農薬の基準量を超えた食品の流通を禁じる「ポジティブリスト制度」(今年5月施行)で、シジミの残留は0・01ppm以内と定めている。
県は7月の調査で、宍道湖4カ所と神西湖1カ所で0・03〜0・09ppmを検出。その後の調査では、宍道湖と神西湖で基準を下回ったものの、宍道湖西岸の河川では継続して基準を上回り、先月26日には平田船川河口(出雲市)で0・12ppm、新建川(斐川町)で0・02ppmを検出した。宍道湖漁協は両河川を含む4水域での漁と出荷を自粛。代替の漁場があり、全体の出荷量に影響はほとんどない。
県は今後、月1回程度調べ、基準を上回る区域があれば区域内の操業や出荷停止を検討する。人体への影響について県は、同じ農薬の米の基準値がシジミの20倍の0・2ppmであることから「みそ汁1杯分のシジミを食べても1日の摂取許容量に遠く及ばない」とした。坂本組合長は「消費者に安心してもらえるように禁止区域を設けた」と話した。
ポジティブリスト制度は、国内で使える全農薬を指定。残留農薬の基準値のある米や麦などの農作物以外では、一律0・01ppmの基準を設けている。これまで規制がなかったシジミも該当するようになった。県は、魚介類について残留農薬の健康影響調査を行い、独自の基準を作るように国に要請する。【久野洋】 11月10日朝刊 (毎日新聞)