2006年10月15日

クロマグロに危機 漁獲枠大幅削減か

 最高級トロの材料として日本で大量に消費される東部大西洋と地中海のクロマグロの資源量が急激に減少、資源維持のためには現在の漁獲枠を半分以下にすべきだとの資源管理機関「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」の科学委員会の報告書案が14日、明らかになった。11月にクロアチアで開くICCATの特別会合に提出される。同会合で国ごとの漁獲枠を定め、各国がこの範囲内でマグロを漁獲することになっている。

 同じ高級トロ原料のミナミマグロも科学者が漁獲量の大幅削減を勧告、各国が漁獲枠の削減を協議している。実際の削減幅は科学者の勧告よりも小さくなることが多いが、高級トロ向けマグロの供給は今後減少し、価格の上昇が見込まれる。

 報告書案によると、東部大西洋と地中海のクロマグロの産卵能力のある親魚の数は、漁業が本格化する前のわずか6%にまで減少するなど資源状態の悪化が深刻。

 年間3万2000トンという現在の漁獲レベルが続けば「資源が崩壊する可能性が高い」とし「漁獲量を今後数年間1万5000トンにまで減らす必要がある」と勧告した。

 報告書案は、漁獲枠の早急な削減に加え、漁獲可能な魚のサイズを引き上げ、地中海での禁漁期間を現在の1カ月から3カ月に拡大するという措置が「資源回復のための唯一の措置だ」と厳しい調子で資源保護対策の強化を求めた。

 公式な漁獲量は2003年が3万2579トン、04年が3万2567トンでほぼ枠を守っている。だが、報告書案は「この規制が守られておらず、実際の漁獲量は5万トンにもなると推定される」と、違法な漁獲が横行していることに言及。「実際の漁獲量は資源維持上適当なレベルの3倍を超える」と指摘した。(産経新聞)

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Posted by jun at 2006年10月15日 22:02 in 魚&水棲生物

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