2006年08月25日

ため池の生きもの:北上市立博物館が4年間がかりで調査、来月末まで企画展/岩手

 ◇ため池放置、生物に影響
 北上市内に260カ所点在するため池にすむ生き物を、北上市立花の北上市立博物館が4年がかりで調べ上げた結果をまとめた企画展「ため池の生きもの」が同博物館で開かれている。これほど大規模なため池の生物調査は県内初。調査で予想以上に多種多数の生き物が生息していたことが分かったが、農業用水の普及でため池の必要性が薄れ、それらの生き物も危機にひんしているという。【石川宏】

 1950年代まで珍しくなかったタガメが今も北上に生息しているかを調べようと考えたのが調査の発端。結局タガメは見つからなかったが、ゲンゴロウ17種▽トンボ9科47種▽ミズスマシ2種▽サンショウウオ2種――など多様な生き物が確認された。魚も7科19種見つかり、体長約1メートルのソウギョも2匹捕まえた。外来生物のブラックバスは1106匹も捕獲された。
 ため池260カ所中240カ所(92・3%)は北上川東側に集中していた。丘陵地帯で農業用水がなかったためだが、1963年にこの地にも農業用水がひかれ、ため池の必要性が急速に薄れた。子供が落ちると危ないと水を抜かれたり埋め立てて畑に姿を変えたりと、ため池が減っている。
 残ったため池も受難の時代を迎えている。調査にあたった元高校教師の佐竹邦彦・専任研究員(66)は「底の泥が取水口をふさぐのを防ぐため、ため池は4〜5年に1度『池祓(いけはら)い』と呼ばれる水抜きをし、泥をさらうことを数百年繰り返してきた。使われなくなったため池は池祓いされないまま富栄養化が進み水質が悪化し、生き物がすめなくなってきている」と説明。「農村の原風景であるため池は人が維持管理し姿を保ってきた。今後どう維持すればよいかを考えてほしい」と話す。
 9月30日までで期間中無休。一般300円、高校生200円、小・中学生150円の博物館入館料が必要。問い合わせは博物館(電話0197・64・1756)へ。 8月24日朝刊 (毎日新聞)

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Posted by jun at 2006年08月25日 00:40 in 自然環境関連

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