山中湖(山中湖村)の湖底にある起伏の“正体”を確かめるため5日、県環境科学研究所と東海大学が共同で調査を始めた。起伏は存在が確認されているものの、火山の噴火による隆起や土石流がたまってできた――など、さまざまな説がある。3次元地形探査機による調査により、起伏の形状が判明すれば、富士山の噴火によってせき止められ誕生したとされる同湖の成り立ちの解明にもつながる重要な手掛かりになりそうという。
同研究所自然環境・富士山火山研究部の輿水達司部長によると、起伏があるのは湖中央の南西で、湖畔から数百メートルの場所。周辺の水深は約10〜11メートルで、湖底から最大で約4〜5メートルの高さがあると思われる。
国土地理院の古い調査で存在が確認されているが、正確な形状は不明で、成り立ちを巡り多くの学者からさまざまな説が唱えられていた。
この日は、同研究所と東海大の研究者ら6人が、国内に2台しかないという同大海洋学部の超音波を使用した3次元地形探査機などのセッティングを行った。7日まで、形状を明らかにするためのデータを集める。
同大の根元謙次教授(海洋地質学)によると、探査機を使うことで、今までは1秒間に4〜5点しか取れなかった地形のデータが、約8000点を取ることができるほか、船の揺れに対応して音波を出すため、高い精度と密度で湖底を知ることができるという。
起伏の姿を3次元で表すのには数カ月かかる。成果は同研究所と同大が共同で学会に発表する予定。【藤野基文】
7月6日朝刊
(毎日新聞)