徳島市は、日本脳炎などの病気を媒介する蚊対策として実施してきた北米産淡水魚のカダヤシ(タップミノー)の放流事業を中止した。生活環境課分室(同市城東町)の水槽で飼育しているカダヤシ約4000匹は処分する予定。絶滅が心配されているメダカを駆逐するとの懸念から外来生物法の規制対象種に指定され、2月から飼育、放流が禁止されたため。
吉野川河口にある同市周辺にはかつて湿地が広がっていたため、蚊が多く、蚊を媒介して感染する日本脳炎に悩まされていた。カダヤシは汚水でも生存し、蚊の幼虫のボウフラを食べることから、職員が東京・羽田空港周辺の排水溝から採取して飼育。68年から毎年市内約30カ所の用水路などに放流してきた。
しかし昨年、外来生物法の論議を受けて放流を中断。今回、規制対象種となったことで処分されることになった。同課は「放流が実際にメダカの減少に結びついているかはわからないが、現状では処分せざるをえない」としている。【小野沢健一】
5月10日朝刊
(毎日新聞)