2006年04月19日

<カワウ>漁業被害食い止めに「追い払い作戦」 10都県

 川魚を狙うカワウの漁業被害を食い止めようと、環境省と首都圏を中心にした10都県などで作る「関東カワウ広域協議会」は19日から10日間、関東地方の計62の河川や湖で「一斉追い払い作戦」に乗り出す。地元の80漁協の協力で、延べ約1万人がロケット花火計約2万6000発で脅して追い払う初の大規模作戦。計約1340万円かかるが、膨大な被害に悩む漁業関係者は大きな期待を寄せている。

 カワウは本州各地に生息し、アユやウグイが好物。水質悪化で70年代には全国で約3000羽に減少したが、その後の水質改善で増え始め、同協議会の昨年末の調査では、関東地方で約2万羽を確認した。
 漁業被害は約10年前から各地で顕著になり、全国内水面漁業協同組合連合会によると、関東地方10都県の漁協の推定被害額は03年度で約10億円に上る。
 糞(ふん)による被害も深刻で、カワウ約1500羽の繁殖地になっている埼玉県滑川町の「国営武蔵丘陵森林公園」のコナラ林は、糞で毎年数十本の木が立ち枯れ、夏場は悪臭が漂う。茨城県大洗町の「日本原子力研究開発機構」の研究施設では、研究用の原子炉の冷却水をためる人工湖(12万5000平方メートル)に糞を落とされ、水質悪化で冷却水として使えない心配も出ている。
 作戦では、カワウが河川に飛来する早朝と夕方を狙ってロケット花火を打ち上げ、スピーカーから数分おきに爆音を鳴らす。また、河川に釣り糸を巡らせて着水できないようにする。限られた地域だけでは効果が薄いため、大規模に展開して、夏場に集まる習性のある東京湾などの沿岸に、一足早く追いやるという。
 環境省は「今のところ、この作戦が一番効果的と考えられる。成果が上がれば今後も続けたい」と話している。【土屋渓】
(毎日新聞)

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Posted by DODGE at 2006年04月19日 11:20 in 自然環境関連

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