利根川が生息の南限とされる淡水魚「イトヨ」が江戸川で発見された。松戸市古ケ崎の漁師、小幡久雄さん(62)が稚鮎(ちあゆ)漁の定置網に1匹かかっているのを見つけ、環境保護活動をしている市川市北国分3の田中利勝さん(63)が確認した。35年にわたり江戸川の生態系を調べている田中さんも、イトヨを江戸川で発見したのは初めてで「南限の記録更新になるのでは」と話している。
イトヨは全長10センチほどで、背中にとげ状の背びれが3本離れて付いているのが特徴。サケのように稚魚が海に下って成長し、産卵前に川に戻ってくる陸海型と、淡水域にとどまる陸封型の2種がある。陸海型は秋に海に下り、春に遡上(そじょう)するという。国内では西限が山口県、南限が利根川とされる。
イトヨは今月5日、江戸川の葛飾橋付近(東京都側)で見つかった。陸海型が成長して遡上して来たとみられる。田中さんは「イトヨは水質が良くなければ生きられない。江戸川と海の水質が良くなってきたのではないか」と話している。【神足俊輔】
4月11日朝刊(毎日新聞)