ニゴロブナなど琵琶湖の魚たちに田んぼを産卵場所にしてもらおうと、東近江市栗見出在家町の自治会会員や愛知川左岸みずすまし推進協議会のメンバーらが8日、同地区の田んぼの排水路で魚の通り道造りに汗を流した。
ニゴロブナなどはかつては沿岸のヨシ帯や水田で産卵、稚魚となって沖合いに帰って行った。ところが最近は、ほ場整備で水路と田んぼの水面に段差ができ魚が産卵しにくくなっている。このため、水路(幅130センチ、深さ60センチ)に段々の堰(せき)を設け、田んぼに入れるようにするのが狙い。
この日は、地元自治会や県東近江地域振興局、愛知川左岸みずすまし推進協など7団体で作った「魚のゆりかご水田プロジェクト」のメンバー約40人が参加。田植えシーズンに水路と水田の表面が同じ高さになるように3メートル置きに15センチずつ高くなる堰を4カ所設けた。
メンバーらは「15センチの段差ならニゴロブナも水路を上れ、田んぼに入って産卵できる」「卵からかえった仔(し)魚は水田のプランクトンを食べ、恐ろしいブラックバスやブルーギルから逃れて稚魚に生育できる」とし、ニゴロブナに大いに田んぼを「揺りかご」に使ってもらいたいと話している。魚の通り道は湖北、湖東では15カ所近く造られているが、東近江地域では同地区が初めて。【斎藤和夫】