香製造・販売の松栄堂(京都市中京区)の新入社員が4日、京都府長岡京市勝竜寺の勝竜寺川の清掃に励んだ。巨椋池の名残を示す希少植物「オグラコウホネ」を気づかいながら、繁茂するクレソンやごみを取り除き、環境配慮の企業姿勢を学んだ。
2003年夏にオグラコウホネが確認されて以来、近くの長岡京工場の社員らが市民グループ「乙訓の自然を守る会」とともに、自生地の保全活動を続けている。環境保護を身近に感じる機会として、2年前から新入社員研修にも取り入れた。
自生地はこれまでの活動で植物の生育環境が整ったためか、昨年まではほとんどなかったクレソンが川面の約2割を覆っていた。8人の新入社員は長靴姿で川に入り、まだ冷たさの残る水に手を浸して、クレソンを引き抜いたり、空き缶などを拾い集めた。
大原野神社(京都市西京区)近くの池で自生していた希少植物ヒメコウホネは、外来種のオオカナダモの繁茂で絶滅したといい、同会希少植物保全担当の藤井肇さんは「放っておくと水面が全部覆われ、水中葉が育たない。こうした定期的な活動が大切」と話した。新入社員の1人、柊理恵子さん(22)は「少しでも役に立てて良かった。香原料は天然のもので、自然環境を守らなければならないことを改めて感じた」と話していた。
(京都新聞)