【滋賀県】県水産試験場(彦根市八坂町)は22日、琵琶湖固有種の淡水魚・ワタカの稚魚約2万5800匹を、草津市北山田町の南湖に放流した。草食性のワタカは琵琶湖で激減している在来魚の一種だが、同試験場の調査で、水草の大量繁茂を抑える働きをしていることが分かっており、個体数の回復が期待されている。 (本安 幸則)
かつて琵琶湖に多く生息したワタカは、湖岸環境の変化や外来魚の影響を受けて個体数が激減。近年はほとんど見られなくなり、県の絶滅危惧(きぐ)種にも指定されている。
同試験場は2000年度から、ワタカによる水草繁茂の抑制効果について調査。ワタカがオオカナダモやコカナダモといった水草を食べることで、大量繁茂を抑える働きをしていることが判明している。
琵琶湖では水草の大量繁茂により、夜間に湖底で酸欠が起きて貝類が死滅したり、刺し網漁などの漁業の邪魔になったりする影響が出ているという。同試験場ではワタカの個体数回復を図り、水草の大量繁茂を抑える効果も実証しようと、02年度から稚魚の放流を続けている。
この日放流したのは同水産試験場で生産し、体長約6センチに成長した稚魚。職員が湖岸から放流していった。今回は草津、守山両市の南湖と安土町の西の湖で計40万匹の稚魚放流を計画。同試験場は「追跡調査を続けながら、水草の抑制効果も今後確認していきたい」としている。
(中日新聞)