2006年03月14日

寒シジミ:目立つ、殻を閉じたままの死 漁の存続、危惧する声も−−琵琶湖/滋賀

 ◇「寒シジミ」異変、仔貝放流も追いつかず−−琵琶湖北部  
 琵琶湖北部の遠浅の漁場で、シジミに異変が起きている。「寒シジミ」と重宝されるこの時期のシジミだが、地元漁業者によると、これまでに例のない、殻を閉じたまま死んだ状態の貝が目立つという。漁場も岸辺に繁茂する水草に追いやられかつてに比べ大きく狭まった上、仔貝の放流も資源回復にまでは至っておらず、シジミの“希少化”が進行。漁業者から漁の存続を危惧(きぐ)する声も出ている。【森田真潮】

 尾上漁港(湖北町尾上)が拠点の朝日漁協に所属する複数の漁業者によると、異変は昨年ごろから見られるようになった。見た目には元気な貝と同様だが、手に持つと軽かったり、振ると鈍い音がする。殻を開けて見ると、中身が空だったり、貝が死んでいる状態。今季に入り、その割合が目立って増えてきているという。
 十数年前にシジミ漁を本格的に始めた前田義明さん(63)は「今年は、取ってきても選(よ)るのが大変」と漏らす。元気なものだけを出荷するためには、手作業の選別をしていくしかない。取ったもののうち出荷できるのは、ほぼ半分くらいに限られるという。
 小学校卒業後、60年に渡ってシジミ漁を続けてきた横尾一弘さん(73)も「昔から死んでるのはたまにいたけど、色があせて殻が開いていた。ぴちっと閉まったまま死んでるのは、昨年から少しずつ出始めた」と話す。
 一方、県漁連を中心に、毎年セタシジミの仔貝放流を続けているが、取れる量は思うように伸びていない。通常ふ化・放流から4年ほどで“一人前”の十数ミリに育つ。しかし、横尾さんは、この大きさのものが減ってきたと感じており「(このままでは)もう取れなくなるんじゃないか」と危惧している。
 同漁協幹事の松岡正富さん(53)は「何かの影響がたまって表れているのか、影響の出始めなのか分からないが、湖底の様子が変わってきているのではないか」と指摘している。3月13日朝刊(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-滋賀-毎日新聞

Posted by jun at 2006年03月14日 12:04 in 自然環境関連

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