2006年03月13日

<ザリガニ>外来種が日本固有種を捕食 北大で実験

 生態系を乱す特定外来生物に指定されたウチダザリガニが、日本固有種のニホンザリガニを好んで捕食することが、北海道大大学院水産科学院の中田和義研究員(保全生物学)と五嶋聖治教授(海洋生態学)の実験で分かった。ウチダがニホンの生息地に入るとニホンが壊滅的に減ることが知られており、自然界で“天敵”となっている可能性がある。この実験結果は5月発行の米国の甲殻類の専門誌「ジャーナル・オブ・クラステイシャン・バイオロジー」に掲載される。

 実験は、水槽に両種を計10匹入れて、1カ月間観察した。両種の比率を3パターンつくり、それぞれ2回実験した。隠れ場所となる塩化ビニール製のパイプと、十分な人工飼料を与え、捕食が起きにくい環境をつくった。
 その結果、ニホン3匹、ウチダ7匹を入れた水槽では、ニホンがすべてウチダに食べられた。ニホン7匹、ウチダ3匹▽ニホン5匹、ウチダ5匹では、ニホンの半数が食べられた。ウチダはどのケースでも食べられなかった。
 アメリカ大陸原産のウチダは1930年に食用とするため、摩周湖に放流された。その後も、人が持ち込むことで分布を広げ、道内各地でニホンの生息域を奪っている。特に道東では、ウチダに種が置き換わっている場所も多い。
 5センチ前後にしか成長しないニホンに比べ、ウチダはその3倍の大きさになり、力も強く生存力が勝っている。また、病原菌を伝染させたりする懸念もある。中田研究員は「ウチダを絶滅させることは難しい。最低限守ることは、今いる湖や沢から人が持ち出して別の場所に放さないことだ。両種の見分け方など、正しい知識の普及も大切だ」と話している。【去石信一】
 ■(ニホンザリガニ) 北海道と北東北のみに生息し、水温の低い沢や湖を好む。落ち葉や小さな虫などを食べる雑食性。かつては広く分布していたが、開発による生息地の環境変化や森林伐採による水温上昇、外来種による捕食などで生息数が激減している。環境省のレッドデータブックでタンチョウと同じ絶滅危惧(きぐ)2類に指定されている。
(毎日新聞)

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Posted by DODGE at 2006年03月13日 10:10 in 魚&水棲生物

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