2006年03月05日

カワウ 漁業被害防止で鳥獣保護法改正へ 環境省

 水鳥のカワウによる漁業被害防止のため環境省は、鳥獣保護法を改正することを決めた。飛行距離が長いカワウ対策には、都道府県を越えた広域での保護管理指針が必要と判断した。国が野生動物の被害防止を目的に、複数の都道府県にまたがる指針を作るのは初めてで、開会中の通常国会に同法改正案を提出する。

 カワウはペリカン目ウ科の魚食性の水鳥で、全長約80センチ。70年代には全国で約3000羽にまで急減し、絶滅が危惧(きぐ)されたが、その後、全国的に回復して現在は数万羽生息しているとされる。1日1羽当たり350〜500グラムの魚を食べるとされ、各地でアユなどの漁業被害が深刻化。また琵琶湖周辺などの繁殖地ではフン害で樹木が衰弱して枯れる被害も目立つ。
 現行の鳥獣保護法は、農業、漁業に被害を与える有害鳥獣対策について、各都道府県を越えた広域での対策を想定していない。しかし、カワウは行動範囲が半径数十キロと広く、「越境」カワウによる被害も目立っている。首都圏の10都県は昨年4月、広域協議会を任意に設立して被害対策に乗り出したが、法的な拘束力がなく足並みがそろわないため、効果が上がっていないという。
 このため同省は、同法を改正し、複数の都道府県にまたがる有害鳥獣対策で国が広域保護管理指針を作成することを決めた。駆除や捕獲の方法、捕獲数の上限などを設定する仕組みを導入する。対象の各自治体は指針に基づき、「特定鳥獣保護管理計画」を作って実際の対策を受け持つ。
 環境省野生生物課は「各都道府県ごとではなく、さらに広い範囲で被害防止策をとらなければ有効ではない。今後はツキノワグマでも同様の広域指針づくりを検討したい」と話している。【江口一】

(毎日新聞)

+Yahoo!ニュース-社会-毎日新聞

Posted by DODGE at 2006年03月05日 15:31 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

mark-aa.jpg