2006年03月02日

サワガニ雄に雌化現象 生活排水や農薬原因? 五ケ瀬川水系4カ所で調査

 【宮崎】 高千穂町や五ケ瀬町の住民で構成するまちおこし団体「五ケ瀬川流域塾」(白石久始運営委員長)は昨年、高千穂町内を流れる五ケ瀬川水系の河川など四カ所に生息するサワガニを捕り、水質を調ベた結果を公表した。いずれも、環境汚染物質が引き起こすと推定される雄の雌化現象が見つかった。今後、同塾では調査を進める方針だ。

 調査は、昨年十月に同塾生と長崎県佐世保市の同県立大の綾木歳一教授(環境変異原学)が共同で実施。高千穂町内の(1)五ケ瀬川(高千穂峡)(2)土呂久川(3)上野川(4)岩戸川の計四カ所で、性的に成熟している体長十一ミリ以上のサワガニ三百七十八匹を採取。腹部内側の生殖器を顕微鏡で観察した。

 このうち百三十九匹の雄の中で、雌の生殖口を併せ持つなどの異常な雄が計四十九匹(約35%)を占め、いずれの採取場所からも見つかった。さらに、土呂久川で捕ったサワガニのうち約43%が雌化。高千穂峡では約36%を占めた。

 サワガニは北海道と沖縄県を除く清流河川に生息するが、雌化現象は長崎県や熊本県、福岡県の河川でも観察されているという。

 調査結果について、綾木教授は「原因物質は分からないが、農業用の殺虫剤や除草剤、生活排水などが複合的に異常を引き起こしているのではないか」と指摘。土呂久川の異常に関しては、「鉱害原因のヒ素が考えられるが、雌の雄化現象が全く見られないため、ヒ素以外の化学物質も関与していることが考えられる」としている。

 同塾は、綾木教授の測定結果を一月二十一日、高千穂町内で、同塾塾長の月尾嘉男・東京大名誉教授を招いた講演会で発表。綾木教授が「高千穂町以外の五ケ瀬川水系でも調査したい」との意向を示していることから、同塾は今後も調査を継続することを確認した。

 白石運営委員長は「さらに範囲を広げて観察し、河川の浄化を五ケ瀬川流域住民に訴えたい」と話している。
(西日本新聞)

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Posted by DODGE at 2006年03月02日 12:18 in 自然環境関連

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