2006年02月26日

謎の巻き貝じわり拡大 野菜荒らす外来種オオクビキレガイ

 地中海沿岸部の原産で、日本では一九八八年に北九州市で初めて確認された巻き貝の一種「オオクビキレガイ」の生息域が広がっている。福岡市や山口県でも見つかり、二十年近くで半径約五十キロ圏内に拡大した。畑や庭の花や野菜を食い荒らし、土中に卵を産んで繁殖する“厄介者”。大きな被害にはいたっていないが、生態には謎が多く、九州大総合研究博物館の松隈明彦教授(58)=貝類学=が本格的な実態調査に乗り出す。

北九州→福岡に 九大が実態本格調査

 オオクビキレガイは、地中海のほか、カリブ諸島沿岸など温暖な地域に生息する陸生の貝。大きさ二二ミリ―三五ミリ。寿命は一年半と短いが、年に二度、直径三ミリほどの卵を数十個単位で産む。

 松隈教授や北九州市立自然史・歴史博物館によると、八八年五月、北九州市戸畑区東大谷の空き地で見つかったのが国内初とされる。

 その後、九〇年九月に門司区、九二年三月に山口県宇部市、九六年七月に福岡県宗像市鐘崎、二〇〇四年十月には福岡市東区で見つかった。北九州市内ではほぼ全域で確認されている。発見場所はいずれも空き地や畑、民家の庭先で、野菜や花を食べている。

 国内への侵入経路について、同博物館は、輸入された工業原料などに紛れ込んでいた可能性を指摘。生息域が広がった要因について、松隈教授は(1)自力で移動した(2)鉢植えや土壌を運んだ際に付着していた―などと推測。

 ただ、本来は温暖な地域にしか生息しておらず、同教授は「土壌、餌、気候など北部九州の何らかの生息環境が繁殖に適していたのではないか」としている。

 外来の貝類による植物被害は、食用に輸入されたジャンボタニシが水稲やイ草を荒らし、八三年、農水省が有害動物に指定している。

 オオクビキレガイによる甚大な被害は報告されていないが、松隈教授は「何を食べ、どんな性質の土壌を好むのか、被害発生に備えて把握しておく必要がある」と指摘。生息域を確認するため、福岡県内の情報提供を呼び掛けている。

 連絡は、松隈研究室=092(642)4296。
(西日本新聞)

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Posted by DODGE at 2006年02月26日 15:41 in 自然環境関連

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