魚群から大きい個体ばかりを漁獲していると、魚群の小型化や生命力の低下を招き、水産資源の崩壊につながる恐れがあると、米・ニューヨーク州立大ストーニーブルック校と東京農業大生物産業学部(北海道網走市)の共同研究チームが実験で突き止めた。
世界的な漁獲量の減少は、餌不足や環境の悪化だけではなく、漁業の影響があるかもしれないと、研究チームは指摘している。
研究チームは、2002年から、トウゴロウイワシの仲間「アトランティックシルバーサイド」を使い、大きい方から90%の個体を取り除いた群と、小さい方から90%を除いた群、規則性なく90%を除いた群の計3群に分けて、6世代にわたって実験室で飼育した。
その結果、小型魚ばかりの群は、稚魚の体長や餌に反応する時間、生存日数など、ほとんどのデータでほかの群よりも劣っていることがわかった。
研究に参加した東京農業大の千葉晋講師は「自然界への影響が証明されれば、大型魚を残すための規制や、優れた魚の遺伝子を残す『ジーンバンク』の設置を考える必要がある」と話している。
(読売新聞)