環境省のレッドデータブックで絶滅危ぐ種とされているクロツラヘラサギ一羽が7日、豊見城市与根の遊水池で、捨てられたとみられる釣り糸に絡まり、衰弱しているのが発見された。クロツラヘラサギは、体中に釣り糸が絡まり、胸と左足に釣り針がそれぞれ1本ずつ刺さった状態だった。発見した沖縄野鳥の会のメンバーによって、那覇市内の動物病院に運ばれたが、同日午前10時半ごろ死んだ。クロツラヘラサギは冬場に県内への飛来が確認されるが、救護された個体が死んだ例は初めてという。
野鳥の会や獣医師は「マナーの悪さがこういう結果を招いた」と強く憤り、二度とこういう事態が起こらないようマナー向上を強く訴えている。
クロツラヘラサギは世界に約1000羽程度しかいないとされる貴重な渡り鳥。
このクロツラヘラサギは若い個体で、11月ごろに飛来したとみられる。1週間ほど前から足をけがしている様子が野鳥の会の会員らに確認されていたが、7日午前9時ごろ、池のそばでぐったりしているのが見つかった。会員らが保護し、病院に運ぶ際も、もがく元気もなかったという。
診察した県獣医師会野生保護対策委員の高良淳司獣医師によると、死因は衰弱死。
針が刺さった足は膨れあがって壊死(えし)が見られる状態。糸を取ろうともがき、さらに絡まったとみられ「うまく餌が取れなかったのではないか」とみている。
(琉球新報)