2005年03月24日

BASS CITGOバスマスターツアー第5戦 初日から最終日までの経過

 3月17-20日の日程で開催されたBASS CITGOバスマスターツアー第5戦ノースキャロライナ州レイク・ノーマン大会。この湖はカタウバ・リバーを堰き止めた人造湖で、同州の最大表水面積を誇るビッグレイクである。最後にツアーレベルのトーナメントが開催されたのは1994年10月19-22日のノースキャロライナTOP100で、優勝ウエイトは4日間合計で23Lb4ozとスーパー・ローウエイトだった。今大会でも公式プラクティス2日めから本戦初日の3日間にかけて急激に気温が低下し、しかも本戦初日は降雪に見舞われるなどタフレイクのイメージをそのままにトーナメントは開幕。しかし初日、桐山孝太郎さんが19Lb7ozをウエイインし首位に立ち、清水盛三さんが12Lb12ozをウエイインし13位タイにつけるなど、予想以上にグッドウエイトが続出した。レイク・ノーマンにしてはポジティブな出だしを迎えたバスマスターツアー第5戦だった。

 レイク・ノーマン戦において、アングラーが懸念したのは2つ。ナチュラル・ストラクチャー希薄さ、そして気温の低下だ。
 ノーマンは一見するとすり鉢状のリザーバーだが、湖畔には数多くの住宅が建ち並びショアラインに無数の桟橋を有する。ディープレンジのハンプやロック、そしてブラッシュパイルはバスをストックしている可能性が高く、スクールするスポッテッドバスのコンタクトポイントにもなっている。ただしディープレンジを3日間の公式プラクティスで攻略するのは時間的に困難。つまり時期は冬でも、シャローの桟橋がもっとも攻略しやすいストラクチャーだった。
 しかもノーマン上空は春の兆しからほど遠い天候を装っていた。本戦中は早朝がマイナス、日中でも5℃ほどにしか上昇しないと予報が出ており、冬そのものだ。加えて雨、みぞれ、雪の予報も出ていた。レイク・ノーマンは北緯35.48度にあり、日本なら千葉県我孫子市とほぼ同じ緯度に位置している。しかし大西洋から直接吹き付ける北東の風は、湖上で競技する選手の体感気温をさらに低下させた。これらのファクターからして、今大会は激戦になると予想された。
 
 本戦初日、「16-17Lbがトップウエイトになるだろう」とアングラーに囁かれている最中、桐山孝太郎さんが19Lb7ozというグッドウエイトを持ち帰った。桐山さんは第1戦を66位、第3戦50位、第4戦52位とコンスタントに50-60位に位置づけているが、第2戦で失格になっている。そのため、第4戦終了時点では年間総合86位に甘んじていた。この日2位には年間総合5位につけ、初のAOY獲得が目前にまで迫ったスキート・リースが入った。桐山さんは「正直、自分でも(このウエイトに)驚いている。とにかく、ひとつのことに固執しないよう、フレキシブルにオープンマインドでいきたい」とプラクティス時にはあまりいい結果を得ていなかった事実を告白。リースも「プラクティスで用いたテクニックでは1尾を釣れなかった」と状況の移り変わりを伝えているが、「それでも思った以上にいい展開を得られた」と述べた。

 また初日をタフにさせた大きな要因として降雪がある。約5cmの積雪を記録し、アングラーはボートを走らせてエリアに到着すると、まずは雪かきをはじめるほどだった。地元ノースキャロライナ州在住のジェイソン・クインは、「いくら地元だからといって、雪が降る日を好んで釣行したことはない。人生で一番辛い日だった」と語った。
 
 2日めは初日とは異なり晴天に。これによってパターンも激変。全体的にウエイトが低迷し、決勝進出を賭けた大事な1日だったが、篩にかけらたアングラーが続出した。スキート・リースは2位から15位に、ランディー・ブロウキャットは4位から24位に、リック・モーリスが7位から20位に転落。代わってリック・クランやエドウィン・エバース、グレッグ・ハックニーが追い上げ、豪華な顔ぶれが決勝進出を果たした。
 期待の桐山さんは8Lb5ozと低迷するが、2日間合計で27Lb12ozをマーク。予選を2位で突破し、今季初のトップ12入りを果たした。初日のリーダー、桐山さんに代わって2日めの首位に躍り出たのは、レイク・ノーマンでガイドサービスをしていた経験を持つローカルエキスパート、ジェイソン・クインだった。クインは初日より2Lb9ozウエイトを伸ばし15Lb12ozをウエイイン。桐山さんに1Lb3ozのリードをつけて、決勝に駒を進めた。
 また年間総合暫定1位だったテリー・スクローギンスが49位、2位のジミー・マイズが117位でフィニッシュ。年間3位についていたマーティー・ストーンは初日の78位から4位へと劇的なジャンプアップに成功し、予選終了時点でストーンの年間暫定1位昇格が決定した。
 
 決勝へ首位で抜けたジェイソン・クインは「プラクティスのときからバスは毎日ポジションを変えている。だから、パターンも毎日アジャストしなきゃいけない」と回答すれば、マーティー・ストーンも「1カ所でリミットメイクできるほど簡単な大会ではない。レイク全体を走り回ってやっとこのウエイトだ」と各日程でアングラーが四苦八苦している事実を解説。雪、晴れと続いたこの日は曇りとなり、太陽の日差しと雲の懸かり具合でバイトのタイミングも大きく変動した。
 決勝初日の最重量を持ち込んだのはエドウィン・エバースで、12Lb15ozをウエイイン。トータルを36Lb3ozに伸ばし3位につけた。この日、予選の2日間と比較してウエイトを落としたクインはそれでもトータルで38Lb11ozをマーク。首位で最終日を迎えた。これに1Lb5oz差に迫って2位につけたのが桐山孝太郎さんだった。
 「(バスの動きが)予測できない日だった。バイトのタイミングにもバラツキがあった」と語るクインに対し、エバースは「昨日まではスポッツをメインしてきたが、今日はラージマウスを釣ることができた。なんとなく場所的な感が働いてきた」とグッドフィッシュをロックオンしたようだ。
 桐山さんは「4パウンダーが数尾いる桟橋を見つけたが、どれもバイトさせられなかった。明日はアイツらを釣り上げてみせる」とビッグフィッシュ・パターンに照準を定めていた。
 
 最終日、桟橋に身を潜めるバスをターゲットにした桐山さんだったが、それらを予定通りウエイインできず2尾で3Lb13ozを持ち帰った。「(5位でフィニッシュして)結果としては喜べても、今日の釣りは最悪だった。一般人のボートの波が激しくなったり、昨日はあった流れが今日はなくなって、バスの反応は悪かった」と最終日の状況を分析。それでも年間総合成績では47位にまで順位を上げた。また桐山さんがメインに使用したルアーは、ハンドメイドのジグとジャッカル社のアラゴンだった。
 昨年見せた驚異的な勢いとは異なり、今季はスロースタートを切って不調に悩むグレッグ・ハックニーであったが、今大会では4位でフィニッシュ。それでも自分を「二流な闘いしかできていない」と不満を漏らした。
 3位には今季2度めの決勝進出(第3戦で9位)を果たしたリック・クランが入賞した。クランはここ数年間不本意な成績が続いていたが、この試合を終えて年間順位を9位に上げた。最終戦でしくじらなければ、自身29回めのバスマスター・クラシック出場が決定する。クランは「今大会ではプランどおりの釣りができた。1尾をロストしたが、あれはどうすることもできない状態でバレた」と好調ぶりを語り、「私は誰もが達成できないこと、U.S.Openのようなハードな大会も2度優勝している。自分に対して厳しすぎる部分もあったが、勝ちたい気持ちは持ち続けている」と完全復活を示唆するコメントを残した。
 ジェイソン・クインは最終日までコンスタントにバスを釣り上げ、入れ替えも行なってきたが、この日はパターンを見失ったかのようにバイトを得られなかった。早い時間帯に4尾をライブウェルに収め、1尾のビッグフィッシュに集中するが上手くいかず、数尾をミスし、そのまま4尾のウエイインとなった。
 そのころエドウィン・エバースは制限時間ギリギリまでキャストを続けていた。「これが今日最後に攻める桟橋だ」と決めてキャスト。この時点でエバースは5尾を持っていたが、「最後」と決めて撃ったにも係わらず、その後3つの桟橋を攻め続けることに。そして「本当に最後のキャスト」で3パウンダーをキャッチするが、終了時間が迫っていた。釣り上げたグッドフィッシュをライブウェルに放り込み、一番小さなバスをレイクに戻すと、コックピットに飛び乗った。ところが、今度は一般のボートトラフィックと制限時間ギリギリの攻防がはじまった。「とにかく、時間がなかった。波のアップダウンで骨が軋むのを堪えながらマリーナに駆け込んだ。あの最後の1尾をライブウェルに入れるまで優勝なんて考えていなかった」と語り、最後の最後でエバースがクインの猛攻を破り逆転優勝を飾った。エバースの優勝は、2003年バスマスターツアー・レイク・ユーファウラ大会、2004年バスマスター・セントラルオープン・サムレイバン大会に続いて、これで3度め。またこれで年間総合順位を14位から3位にまで引き上げた。

Posted by DODGE at 2005年03月24日 12:20 in 海外トーナメント:BASS

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