2005年03月09日

BASSバスマスターツアー第4戦 初日から最終日までの経過

 マイク・レイノルズの優勝で幕を閉じたBASS CITGOバスマスターツアー第4戦Jストローム・サーモンド・リザーバー大会。昨年、今シーズンのツアースケジュールが公表された際に、もっとも警戒すべきフィールドとしてアングラーの脳裏に刻み込まれたのがこの湖だった。最後にBASS主催の大会が開催されたのが1975年。それ以来、地元アングラーは釣っていたのであろうが、ほとんどのツアー参戦選手にとっては情報が皆無。清水盛三さんのレポートにもあったように、プリプラクティスの情報がカギを握る可能性の高い注目の一戦となった。

 BASSが最初にJストローム・サーモンド・リザーバー(通称クラークスヒル)でトーナメントを開催したのは1973年10月30日の第3回バスマスター・クラシックだった(当時はMiller High Life BASS Masters Classicの名称を使用していた)。当時は10フィッシュ・リミットで、優勝賞金は1万5000ドル。3日間の日程で27尾をウエイインしたレーヨ・ブレッケンリッジが2位のビル・ダンスに9Lb10ozの差をつけて優勝した。
 またクラシックは1976年大会の第6回までは開催湖が出場メンバーに告知されておらず、集合場所である空港に集結した選手が飛行機に搭乗してから開催湖が告げられるミステリーレイク方式を採用。レイクの決定権は創始者であるレイ・スコットにあったといわれているが、スコットはPGAツアーのようなトレイルを目標にしていたため、マスターズ・ゴルフ・クラシックが開催されるオーガスタ・ゴルフ・アンド・カントリーにほど近いクラークスヒルは、バスマスター・クラシックを開催するにはベストチョイスだった。
 その後、1974年にオール・アメリカンが開催され、フェデレーションの地区代表を決定するチャプター・チャンピオンシップが1975年に開催されているがそれだけ。つまり、今回バスマスターツアーが30年ぶりにクラークスヒルでされたワケだが、それまでに3度しかこのフィールドでトーナメントが開催されていなかったのだ。
 したがって、アングラーに入ってくる情報は少ない。唯一参考にできた最近の情報といえば、2月12日に同湖で開催されたBFLサバナリバー・リージョン大会の試合成績くらいだった。ウイニング・ウエイトは18Lb12ozとけっしてローウエイトではないものの、多くの選手がディープレンジをスローに攻略し、ウインターパターンを示唆させた。この大会から3週間が経過し、バスマスターが開催されたが、それほど状況は変化してないようで、多くの選手が苦戦を強いられた。
 
 クラークスヒルは表面積は約18万平方kmのローランド・リザーバーで、ジョージア州とサウスキャロライナ州の州境に位置する。メインのボディーウォーターには大きなアーム(支流)が流れ込んでいて、その他にも無数のクリークや水路が入り組んでいる。全体的にバンクが延々と続くすり鉢状のショアラインで、ショアを攻略するのはほぼ不可能に近い。
 今戦のポイントは水温と気温の上昇、そしてバスの集中しているエリアを探し出すことにあった。大会中、もっとも気温の低かったのは2日めの早朝でマイナス3℃。昼間でも10℃くらいにしか上がっていない。バスはとにかく低活性であったと思われる。
 
 大会初日のトップはフランク・イッポリティで26Lb7ozをウエイイン。トミー・ビッフルが20Lb10ozで2位に入った。すでに約6Lbの差がついてしまったが、イッポリティのウエイトには2尾の8パウンダーが含まれていたため、ビッグウエイトに繋がったと思われる。今戦でもレイク・ガンタースビル大会のように連日ビッグウエイトの兆しはあったが、情報量が少ないために、選手も関係者もウエイトを読むのが難しい状態だった。
 予選2日め、全体的にウエイトが落ちたため決勝進出ラインの12位周辺が混戦となった。たとえば、予選を首位で抜けたガイ・エーカーは20Lb7ozをウエイインし15位からトップへ、マイク・レイノルズは24位から6位にジャンプアップを果たした。一方で昨日2位につけたトミー・ビッフルが17位に、デイブ・グリービーが3位から24位へ、マーティー・ストーンが10位から36位へと転落した。
 2日めにはビッフルが面白いことを語っていた。「今日は上流部に行って、スピナーベイトなどを駆使して攻略した。しかしローカル・トーナメントの結果などを見ると、上流部のステインド・ウオーターエリアでは勝てないという情報があった。みんな下流部の比較的クリア・ウォーターで、グラスを攻略するのが賢明だと。私は『やるしかないな』といった感じで上流部を目指した」が、この日は1尾で3Lb10ozと低迷。上流部攻略の難しさを漏らした。しかし決勝に進むレイノルズも上流のクリークをメインにしてた。
 
 決勝初日、クラークスヒルは徐々にその全貌を明らかにしはじめた。初日当初はガンタースビルのようなビッグバス・ファクトリーな形相を呈していたが、実際にはクラークスヒルはタフレイクだったのだ。初日に26Lb7ozをウエイインしトップに立ったフランク・イッポリティはこの日ノーフィッシュで帰着。9位にランクを落とし、スーパーシックス残留にはならなかった。また予選をトップで抜けたガイ・エーカーも1尾で3Lb7ozのウエイインに止まり5位に。代わって首位に躍り出たのが、14Lb9ozというグッドウエイトを持ち帰ったマイケル・アイコネリだった。彼は今年バスマスターツアーにおいて、第1戦から49位、19位、5位と徐々に調子を上げきているため、決勝初日を終えた時点でもっとも優勝に近いアングラーとして期待が高まった。
 しかしマイク・レイノルズがアイコネリをわずか6oz差で射程距離内に収めると、レイノルズは西海岸で鍛えられたタフ・ウォーターの切り抜け方をもってして、最終日のタフコンディションをリミットメイクで打破。アイコネリを追撃し、BASSにおいて初優勝を遂げた。

 レイノルズといえば西海岸を中心に活躍していた選手で、BASSウェスタンオープン戦では、アーロン・マーテンスや桐山孝太郎さん、スリート・リースと共に凌ぎを削り、つねに上位入賞を果たす一流アングラーのひとりだった。2003年からメジャートレイルであるバスマスターツアーに昇格を果たすが、長らく低迷。2004年シーズン、FLW TOURとの掛け持ちで連戦していた彼に思わぬトラブルが待ち受けていた。FLW TOUR第4戦終了後、一時帰宅をしようとカリフォルニア州に戻っている最中に交通事故に遭遇。クルマとボートが大破した。レイノルズは、「(今大会で手にした賞金で)これでなんとか借金を返済できるよ(苦笑)」と苦難を語っている。
 レイノルズは今季バスマスターツアー初戦を28位、第2戦を27位でフィニッシュし、年間順位の14位につけた。しかし第3戦を117位と凡戦に終わったため、36位にまで順位を落とす。つまり、このクラークスヒル大会は後半戦を占う大事な一戦となっていた。レイノルズは今戦を優勝することで一挙に大量ポイントを獲得。年間順位の15位に最浮上した。現在年間1位のテリー・スクローギンスとは約120ポイント開いているものの、クラシック・クオリファイを達成するには今後も現ポジションをキープしておきたいものだ。
 
 2日めにトミー・ビッフルが語っていた「ステインド・ウォーター・エリアは不利」の予測は、レイノルズによって破られた。レイノルズが陣取ったのは上流部のサバナリバーに絡んだクリークとポケットで、多くの選手が苦戦した風の影響もほとんどなかったという。初日から最終日まで毎日同じクリークでパターンを組んだレイノルズだったが、バスの反応は毎日異なり、バイトするタイミングやストラクチャー、ルアーまでもが毎日変わった。そして迎えた最終日、「なぜだかわからないが、バスの反応が極端に悪くなって、バイトがなくなった」と語り、この日だけは最後の最後までリミットメイクができなかった。帰着途中に見つけた小さなポケットにワンキャストし1Lb半を釣り上げる。このバスが功を奏して逆転優勝を飾った。

Posted by DODGE at 2005年03月09日 19:20 in 海外トーナメント:BASS

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