2005年03月03日

新株バクテリアから水質浄化 大津の鉄工所経営者が開発

 大津市内の鉄工所経営者が、比叡山のふもとの山林で発見した新株のバクテリアを使い、工場排水などの水質浄化剤をこのほど開発した。発見したバクテリアは、リンやチッ素を多く含む汚泥やアンモニアの悪臭を他のバクテリアと比べ効率よく分解、除去する能力があり、琵琶湖の水質改善につながると期待されている。

 経営者は小森清喜さん(67)=大津市真野大野1丁目=。琵琶湖の水質悪化に関心を持ち、以前、工場向けの水質浄化設備を開発したが、コスト面で採用されなかった。そこで「今ある設備で簡便に工場排水を浄化できないか」と考え、自然界で浄化作用を担うバクテリアに着目した。
 2000年秋から、自宅近くの山林で、土や植物を採取。分離や培養を繰り返し、その中から排水を効率よく浄化するバクテリアを発見。東海大で調べてもらったところ、医薬品などによく用いられるエンペドバクターブレビスの1種で、新しい菌株とわかった。
 昨春、このバクテリアを使って水質浄化剤を開発。京都府宇治田原町の機械部品製造工場で、週に1度、水質浄化剤を工場排水に投入する実験を1カ月間続けた。結果、汚濁指標となる窒素が89%、リンが96%、アンモニア性窒素が99%それぞれ減少した。
 研究方法などを助言している奈良先端科学技術大学院大学の柴谷武爾客員教授は「従来の水質浄化剤は複数のバクテリアが使われているが、富栄養化の原因となるリンや窒素などはあまり分解できない。1種類の菌が複数の汚濁物質を効率よく分解、浄化できるのは珍しい」と話す。
 小森さんは特許を申請し、このほど会社を設立して本格的に販売に乗り出した。「費用面で環境対策が難しい中小規模工場に使ってもらい、琵琶湖の水を少しでもきれいできれば」と話している。
(京都新聞)

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Posted by DODGE at 2005年03月03日 11:44 in 自然環境関連

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