京都府木津川市加茂町の浄瑠璃寺で、国宝の三重塔や重要文化財の薬師如来像などが、特定外来生物のアライグマによって傷つけられていたことが分かった。研究者は「仏像が被害に遭ったのは初めて。ほかの社寺の秘仏でも被害が広がっているかもしれない」と警鐘を鳴らしている。
同寺によると、三重塔では以前からアライグマの特徴があるつめ跡が外側の柱で多数見つかっていたという。2年ほど前には、塔内の天井に穴が開けられているのが見つかり、進入路をふさぐなど対策をしていた。
先月、関西野生生物研究所(京都市東山区)が塔内を調査したところ、薬師如来像の右肩や台座など8カ所につめ跡が見つかり、三重塔の1階内壁に描かれた重文の十六羅漢図にも無数のつめ跡で激しく損傷しているのが分かった。進入路をふさぐ以前に被害に遭っていたとみられる。
浄瑠璃寺は「天井からほこりが落ちていたが、昔からいるムササビの仕業だと思っていた」と肩を落としている。
木津川市文化財保護室は「国にも調査を依頼し、補修など今後の対策を検討したい」としている。
関西野生生物研究所の川道美枝子代表によると、アライグマは北米原産で、1970年代から国内で野生化。建物の屋根裏に住み着くことが多い。社寺などに入り柱につめを跡を付けて損壊するケースが多発しているという。これまでに調査した京都府内の社寺約400カ所のうち8割でアライグマが立ち寄ったとみられる痕跡が見つかっており、「早急に駆除が必要」と指摘している。