2008年11月04日

県内で生息域広げる/チョウ・アカボシゴマダラ、既存の生態系影響か

 環境省が要注意外来生物に指定するチョウ「アカボシゴマダラ」が県内で生息域を広げている。国内ではもともと、奄美諸島にのみ生息していた。約十年前から県内で繁殖しているのは、羽根の模様から中国で生息していた亜種とみられる。関係者は、故意に外来種を放つ“放虫ゲリラ”か、愛好家が誤って逃した可能性を指摘。繁殖能力が高いため、同じ餌を食べる在来種への影響や、異種交配の懸念があり、専門家が調査に乗り出している。

 アカボシゴマダラの中国亜種は、羽を広げた大きさが約七〜八センチで、朝鮮半島や中国、ベトナム北部などに生息。黒の羽根に赤と白の斑点があり、春に発生する雌だけ全体が白っぽくなるのが大きな特徴だという。

 奄美の在来種を除くアカボシゴマダラは、〇四年に制定された外来生物法で、セイヨウタンポポなどと共に、飼育などの取り扱いに注意を呼び掛ける要注意外来生物に指定されている。また、植物防疫法の検疫有害動物として輸入が禁止されている。

 県立生命の星・地球博物館(小田原市)の高桑正敏学芸員によると、県内では一九九八年に湘南地域で確認されたのを皮切りに、二〇〇二年ごろから横浜や藤沢、鎌倉で急増。昨年には厚木、小田原市など各地で生息が確認されたほか、東京都内でも発見。十月には横浜市戸塚区の舞岡公園で飛んでいるのを地域住民が確認している。

 中国亜種の繁殖と影響について調査を続けている、チョウ愛好家の菅井忠雄さん=同市磯子区=は、「中国亜種の幼虫を餌とする生物が少ないことが、羽化率を押し上げているのではないか」と推測。一年に産卵する回数も、本州にいるゴマダラチョウなど在来種の一〜二回に比べ、中国亜種は三回以上と繁殖力の差が際立っているという。

 高桑さんは、エノキの葉やクヌギの樹液などの同じ餌を食べる、ゴマダラチョウやオオムラサキなどの在来種に「影響を及ぼしているのではないか」と懸念。一方、菅井さんは「在来種の数が減少していたとしても、中国亜種の繁殖が原因と即断することはまだできない」との見方だ。

 高桑さんや菅井さんらの研究グループは、餌を置いた実験室内での、中国亜種とゴマダラチョウの競争実験や、人為的な両種の異種交配実験を実施。亜種の進出状況や在来種との関係など、生態系への影響をさらに調査している。

+Yahoo!ニュース-神奈川-カナロコ

Posted by jun at 2008年11月04日 12:10 in 外来生物問題

mark-aa.jpg