田辺市とその周辺で捕獲された特定外来生物アライグマの約半数が、過去に致死率の高い感染症を引き起こすイヌジステンパーウイルス(CDV)に感染していたことが、山口大学農学部獣医微生物学教室の前田健准教授(40)らの調査で分かった。旧田辺市内では60・3%という高い確率で感染していた。前田准教授は「予想以上に野生動物にCDVがまん延している」と話している。
前田准教授は、田辺市稲成町のふるさと自然公園センターの鈴木和男さん(51)の協力で、2007年3月から5月に掛けて、田辺市でタヌキ7匹とイタチ1匹がCDV感染で死亡したことを確認した。CDVは多くの肉食動物に感染するため、同市でこの時期にCDVが流行していた可能性があると予測。07年6月〜08年4月に捕獲されたり事故死したりしたアライグマやタヌキなどを対象に、感染して治った個体が体内に持つウイルス抗体の有無を調べた。
この結果、アライグマ104匹中54匹(51・9%)から抗体の陽性反応が確認された。旧田辺市内では58匹中35匹が陽性だった。近畿の他地域の陽性率(30〜34%)と比べても高く、田辺地域で最近、CDVが流行していたことが裏付けられたという。
陽性個体はみなべ町や白浜町、印南町などでも確認された。タヌキは19匹のうち4匹(21・1%)が陽性で、タヌキの低い陽性率は、アライグマよりCDV感染に弱く死にやすいためではないかとみている。
前田准教授は「ジステンパーは以前から日本の野生動物でみられたが、外来生物のアライグマが定着することで、流行の形態が変わってくる可能性がある」と指摘している。
鈴木さんは「衰弱して動けなくなった野生動物を見掛けたら情報提供してほしい」と呼び掛けている。問い合わせはふるさと自然公園センター(0739・25・7252)の鈴木さんへ。
■イヌジステンパー
感染初期は高熱や下痢、肺炎などの症状を示す。さらに病気が進行するとけいれん発作や震え、足のしびれなどを起こし死に至ることもある。感染動物の唾液(だえき)や尿などを吸い込んだり、接触したりすることで動物間で感染する。人には感染しないという。