琵琶湖の在来魚の繁殖を目指し、田んぼ型の池を配置したビオトープが、滋賀県草津市下物町の湖岸に完成した。すでにフナやコイが遡(そ)上(じょう)して産卵し、ふ化した稚魚が順調に成育し始め、豊かな漁場として栄えた南湖の再生が期待されている。
下物ビオトープは、県が湖岸堤の堤脚水路と一体で整備し、4月に運用を始めた。広さ約0・7ヘクタールで、水田のような4つの池を配置。各池は高低差20センチの魚道でつなぎ、湖から外来魚の侵入を防ぐ一方、魚の産卵、成育場所を設けた。
4月末から県と水資源機構琵琶湖総合開発管理所が週1回、魚の個体数と産卵状況を調査。フナやコイ、ドジョウ、ナマズなどの生息を確認し、フナ類は最大約350匹が見つかった。また、池に設けた疑似水草にはこれら在来魚が多くの卵を産み付けた。
このほど開かれた観察会では、在来魚の稚魚のほか、ヤゴなど昆虫も確認。多様な生態系をはぐくむビオトープの姿を披露した。
同市内では、ほかに近江大橋東詰めの新浜町でもビオトープの建設が進んでいる。棚田のように配置した三段の池は1・6ヘクタールもあり、来月中に完成予定。
県立琵琶湖博物館の前畑政善・上席総括学芸員(水族繁殖学)は「ビオトープは多様な命をはぐくんだかつての湖岸内湖や湿地帯の役割を果たす。水辺と人の関係を見直す契機にもなる」と話している。