2008年01月05日

むつ・大畑川の希少魚「スギノコ」危機 天敵イワナ増殖中

 青森県むつ市の大畑川に生息するサクラマス(ヤマメ)の地域個体群「スギノコ」を保護するため、青森県と地元漁協が取り組んでいるイワナの駆除が、行き詰まっている。イワナは本来、スギノコの生息域にはおらず、何者かが密放流したとみられる。駆除を始めて5年がたつが、イワナの増殖に追いつかないのが現状。財政難から県の予算も付かなくなり、漁協関係者らは困り果てている。

 「すごい勢いでイワナが増えている」。十和田市の県内水面研究所の職員はため息をつく。イワナはスギノコを小さいうちに食べてしまう上、スギノコの産卵場所を荒らして自分の卵を産む。職員は「雑種が生まれる可能性もあり、今までにない事態が起きている」と危機感を募らす。

 県がイワナ駆除に着手したのは2003年度。駆除に合わせた同年6月の調査では、スギノコ447匹に対し、イワナは80匹で生息比率は15.2%だったが、昨年6月には、スギノコ2匹に対しイワナ31匹と、生息比率は94.0%に上った。地域が異なるために単純比較はできないが、イワナは爆発的に増えている可能性が高い。

 県は1993年度、希少なスギノコがいる大畑川上流域を全面禁漁の保護水面に指定している。イワナは当時、全くいなかったが、99年の魚類分布調査で初めて存在を確認。密放流とみて、調査を重ねた上で駆除に乗り出した。

 以来、返しのない針で釣ったり、一定区域内に電気を流す「電気ショッカー」を使ったりするなどしてイワナを捕獲。スギノコのいない下流域に放してきたが、財政難で06年度からは予算がゼロになった。

 県は現在、「別事業のついで」(県水産振興課)に、何とか駆除を続けているのが実態だが、それも限界に近づきつつある。
 大畑町漁協指導課長の若山一寿さん(57)は「電気ショッカーは100万円もするので漁協独自では買えない。釣りで対応しているが、人手も足りず、スギノコもかかるからうまくいかない」と指摘。「釣り人に釣ってもらうのが手っ取り早いが、保護水面だからそれもできない。妙案はないものか」と嘆いている。

[スギノコ]世界で大畑川の赤滝(落差11メートル)の上流だけにすむ希少種。通常のヤマメはイワナより下流に生息し、海に下ってから産卵のためにさかのぼるが、スギノコはイワナより上流にいて、その場にとどまって繁殖を繰り返す特異性を持つ。

+Yahoo!ニュース-青森-河北新報

Posted by jun at 2008年01月05日 17:14 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

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