2008年01月22日

サケ遡上:水力発電ダムで激減 国交省調査で判明−−信濃・千曲川水系/新潟

 ◇所有2企業に改善求める考え
 信濃川と上流の千曲川(長野県)で、水力発電用ダム2基が昭和初期に建設されて以降、遡上(そじょう)・産卵するサケが激減したことが、国土交通省の調べで分かった。「クリーンエネルギー」として注目される水力発電だが、開発や運用次第では生態系が破壊されることを示す一例といえる。地元と国は、ダムの所有企業に環境改善を求めていく考えだ。【根本太一】

 国交省・信濃川河川事務所(長岡市)によると、千曲川でのサケの漁獲量は、ピーク時の1931(昭和6)年に約1万8000匹。十日町市付近は29年に9000匹で、地元漁協には昭和初期、年間約4万匹の水揚げがあった、との資料もある。
 ところが、38年に「宮中ダム」(十日町市)が、40年に「西大滝ダム」(長野県飯山市)が完成すると、水の流れる量など川の生態系が大きく変化。この結果、千曲川で50年(7匹)、十日町市内で52年(102匹)を最後に、水揚げは皆無になった。
 サケの遡上は、長野県が79年に稚魚の放流を始めて以降、長岡、小千谷両市の境で多く確認されている。だが、千曲川では漁業として成り立たず、長野県は00年に放流事業を中止した。
 宮中ダムはJR東日本が所有し、山手線など東京都内の主要鉄道を支えている。西大滝ダムは東電が管理。ともに軍需産業の台頭が建設の背景にあったとされるが、今でも首都圏の暮らしに欠かせない水力発電施設だ。
 しかし、宮中ダムの魚道は上りにくく、放水量も餌となる藻や水温など魚の生活環境に影響する。十日町市の田口直人市長は「ダムで下流の水が減り、サケが帰って来られなくなった。母なる豊かな信濃川の生態系を取り戻したい」と訴える。
 このため国と地元は99年に「環境改善検討協議会」を発足。適正な放水量などについて学識経験者らと「提言書」を年度内にまとめる作業を進めている。
 国交省によると、東電の西大滝ダムは10年度に、JRの宮中ダムは15年度に「水利権」の更新申請期を迎えるため、両社とも環境に配慮した利水計画を提出するとみられる。 1月21日朝刊

+Yahoo!ニュース-新潟-毎日新聞

Posted by jun at 2008年01月22日 10:46 in 魚&水棲生物, 自然環境関連, 内水面行政関連

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