田辺市のため池などで見つかっている外来種アフリカツメガエルが保菌するカエルツボカビで、ヌマガエルなど一部の在来ガエルが感染死することを、麻布大学(神奈川県)などの研究グループが実験で初めて確認した。ヌマガエルは紀南地方にも生息しており、地元研究者らは警戒を強めている。
麻布大の宇根有美准教授によると、ツボカビに感染したアフリカツメガエルを飼育した水を在来ガエルの飼育水に加えるなどの方法で行った。アフリカツメガエルは実験用に販売されているものを使用。在来ガエルは沖縄県で天然記念物に指定されているイシカワガエルやホルストガエルを含む23種約200匹を使った。
観察を始めて42日目までに17匹が死に、うちヌマガエル3匹、コガタハナサキガエル1匹が病理検査でツボカビ症と確認された。ヌマガエルに関しては5匹中3匹が死んだ。
これまでにツボカビには5タイプあることが分かっている。このうち、カエルの種類にもよるが致死性の強いものは少なくとも2タイプあるという。宇根准教授は「田辺市のツボカビもこの2タイプに入る可能性があり、今後、さらに詳しい調査と研究が必要」と話している。
ヌマガエルは紀南地方の水田や湿地、草地の水たまりなどで見られる普通種。県自然環境研究会メンバーの玉井済夫さん(68)=田辺市湊=は「いまのところ、アフリカツメガエルが生息しているため池周辺で在来種が多く死んでいたという情報はないが、今後が心配だ。生態系にも大きな影響を及ぼすだろうし、農業にとっても害虫を食べるカエルがいなくなることは大きな問題」と話している。
アフリカツメガエルは今年6月下旬、田辺市新庄町の県立自然公園に指定されている鳥ノ巣の2つのため池で生息が確認された。玉井さんらが調査したところ、計5カ所のため池で生息していることが分かった。このため池で捕獲した個体を国立環境研究所=茨城県つくば市=が検査してツボカビに感染していることを突き止めた。現在、県が中心となり、撲滅に向け捕獲の準備を進めている。
カエルツボカビ 両生類のみに感染すると言われている真菌(カビ)。日本で定着の恐れがあるとして環境省の要注意外来生物に指定されているアフリカツメガエルが感染しても発症せず、一時的な媒介者になっているとみられている。オーストラリアでは、46種に感染が確認され、11種が死んでいるという。