◇国交省、影響試験前提に着工へ/漁協「アユの生態系に打撃」
国土交通省の霞ケ浦導水事業で水戸市の那珂川に建設する取水口をめぐって、地元漁協が「アユの産卵場のそばにあり、生態系に深刻な影響を及ぼす」と反対している。今年度中にも予定される着工を前に、霞ケ浦導水工事事務所は21日、地元漁協メンバーを含む委員会を設立し取水試験をしながら話し合う意向を示したが「(着工で)既成事実を作る目的だ」と漁協側は反発を強めている。
同事務所によると、委員会は川に生息するアユやサケ、漁業全般、河川工学に関する有識者4〜5人と、県内3漁協の組合長らをメンバーに年内にも設置。取水試験の方法を含めて検討を進め、施設などの見直しが必要な場合には指摘し、本格運用の決定も委員会ですることになるという。
計画では、取水口は水戸市渡里町の那珂川右岸に2年をかけて建設。約50メートルにわたる吸い込み口8門から毎秒15トンの取水能力があり、川の流速より取水は緩やかになるように設計されているという。工事費は約15億円。
同事務所は漁協側に対して、まだ泳ぐことができない仔(こ)アユが川を下る10、11月の午後6時から翌8時まで取水をやめることで、仔アユの吸い込みが1%未満にとどまり、取水口に穴が5ミリ程度の網を取り付けることで体長3センチ以上の魚の吸い込みは避けられると説明している。
この日の会見で、同事務所側は「法律上は漁協の同意がなくても運用できると考えているが、理解を頂く努力は緩めずやっていきたい」との姿勢を示した。
一方、流域でアユ漁をしている那珂川漁協(城里町)は先月、取水口建設と試験的な取水開始の撤回を求める決議を全会一致で可決。君島恭一代表理事組合長は「強制着工すれば組合員にものすごい反発が起こる。委員会に参加するかどうかは理事会に諮る」と話している。【立上修】
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■ことば
◇霞ケ浦導水事業
水質浄化や用水確保などを目的に那珂川、桜川、霞ケ浦、利根川を地下トンネルで結ぶ。事業は84年に着工し、10年の完成を目指している。94年に完成した霞ケ浦―利根川の利根導水路(約2・6キロ)と、約7割が未完成で建設中の那珂川―霞ケ浦の那珂導水路(約43キロ)からなる。これまでに最大取水量を減らすなどの計画変更をしている。 11月22日朝刊