ペットブームで世界各地から珍しい動物たちが輸入されているが、飽きたり飼えなくなるなどして安易に捨ててしまう飼い主も残念ながら多いのが現状だ。捨て犬や捨て猫の問題が時折TVで取り上げられることがある。アライグマが野生化し畑を荒らすなどの問題も記憶に新しい。
爬虫類や鳥類などの小型ペットはどうだろう。大きな動物に比べて目立たないが、熱帯魚や昆虫などの外国産の小さな生き物たちが日本の街角で発見されることもある。殺すよりは野生に帰してあげるようなポジティブな感覚を持って放すひとも少なくないだろう。しかし、ここは日本であって彼ら輸入動物にとっての「野生」ではない。その多くは環境に適応できずに死んでしまうと思われるが、中には生き残り想像を絶する被害を与える場合もあるのだ。
これまで日本政府は外来種の問題を重要視してこなかった。オオヒキガエルのように害虫などの駆除に役立ったり、ニジマスのように美味であるなど人間にとってメリットもあったからだ。が、気付いたときにはこれら外来種が生態系に取り返しのつかない悪影響を与え始めていた。
まずは餌の問題がある。同じ種の動物は同様の餌を好む場合が多く、奪い合いになる。外来種の方が餌を確保する能力に長けていれば、日本固有の種が激減、下手をすれば絶滅することにもなる。日本の侵略的外来種ワースト100選に指定されているアルゼンチンアリなどは、餌を奪うのみならず他のアリの巣を襲い全滅させてしまうのだそうだ。こうして外来種はじわじわと日本産の生物を押しやり、テリトリーを広げていく。
次に交雑の問題だ。10月8日の産経新聞ニュースで取り上げられたが、日本のヒラタクワガタと外来種であるスマトラオオヒラタクワガタでは交雑が可能であることが分かった。その2世もまた交配が可能なのだそうだ。そうすると何が起こるかといえば、自然界で日本固有の種と外国産のものが交配し雑種が蔓延することで、日本固有の純粋種がいなくなってしまう恐れがある。実際に長崎県と静岡県で雑種のクワガタが採取されているのだ。
それだけでなく、外来種は新たな病原菌や寄生虫を持ち込む恐れもある。野生生物だけではない。それら新たな寄生生物がヒトへ感染しないと言い切ることが出来るだろうか。デングウイルス・エボラウイルスなどはサルを宿主とする人獣共通感染症である。日本に繁殖した外来生物が有する寄生生物の中で、仮に人間に感染し強い病原性を有するものもあればどうなってしまうだろう。近年千葉県でアカゲザルとおぼしきサルが発見された。新たな寄生生物が野生のニホンザルに影響を及ぼす恐れがあったため調査がなされたが、現在異常は確認されていないようだ。
こうして日本の生態系を脅かしている外来種。ただ可愛いだけではすまされない。決して安易に放したりしないよう厳重に注意したい。 (記者:夏菜)
Posted by jun at 2007年10月10日 12:21 in 自然環境関連