【名護】2006年度に名護市内で捕獲されたヘビ類139匹のうち外来生物のタイワンハブが121匹と約9割に上っていることが、市環境衛生課がとりまとめた捕獲実績で分かった。捕獲場所は国道58号以北の中山と為又地区に集中している。タイワンハブは、本島在来のハブよりも強い毒を持ち、動きが速く攻撃的。繁殖力も強いため、生息域が広がれば、咬症被害の拡大や希少種が多く生息する本島北部やんばるの森の生態系への影響が懸念される。
捕獲実績は、名護市内に設置した捕獲器にかかったハブや、同課に持ち込まれたハブの死骸(しがい)などを月別に統計。タイワンハブ以外はヒメハブ11匹、ハブ1匹、アカマタ6匹などだった。
タイワンハブの捕獲数は地域別にみると、中山が53匹で最も多く、名桜大学のある為又や名護の農業試験場周辺で多く捕獲されている。市が捕獲を始めた02年度は12匹、03年度31匹、04年度95匹、05年度103匹とタイワンハブの捕獲数が年々増加。市環境衛生課は「捕獲器を増設したのが一因だが、増やすだけ捕獲され、それだけタイワンハブが多いということではないか」とみている。
県衛生環境研究所によると、タイワンハブによる咬症は05年に1件初確認され、06年は2件。いずれも名護市で発生した。07年は8月27日現在、咬症被害はないが、住宅内への侵入などの目撃情報もあり、捕獲器設置の要望が市に寄せられている。
市は住民への説明会開催や注意を喚起する看板を設置するなどしている。国道よりも南側への分布を防ぐため、県衛環研と共同で国道の歩道脇に拡散防止用のフェンスも設置した。
ハブを研究する県衛環研の寺田考紀研究員は、タイワンハブが在来のハブに比べて発見しにくい体色であることを指摘し「毒蛇による咬症の被害が増える。今は拡散を防止し、地道にわなを仕掛けて駆除するしかない」と述べた。確認されている雑種の問題については「血清は効くので治療は問題ないが、遺伝子のかく乱が起こる」と危惧(きぐ)している。
爬虫(はちゅう)類に詳しい琉球大学熱帯生物圏研究センターの太田英利教授は「違う種が入ることで捕食圧力が大きくなり、甚大な被害につながる可能性はある。在来のハブやアカマタと捕食で競合し在来の数を減らすことも考えられる」と警鐘を鳴らしている。 (慶田城七瀬)
<ニュース用語>タイワンハブ
中国南部や台湾が原産。ハブの約1・2倍の毒を持ち、動きが速く攻撃的。体表には暗い褐色の斑紋が並び、ハブよりも発見しにくい。繁殖力は強く夜行性。全長70―100センチ、咬症にはハブ用の抗毒素が有効とされる。県内では、名護市内の観光施設で飼育されていたものが逃げ出し野生化したとみられる。外来種被害防止法で特定外来生物に指定されており、飼育や輸入が規制され、防除の対象になっている。
Posted by jun at 2007年09月04日 06:25 in 自然環境関連